トイレに文書を流す? トランプ氏の大統領記録法違反、捜査で露呈

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 アメリカではいま、同国下院に属する議員で構成される昨年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件についての調査委員会による綿密な調査で、同事件がただの偶発的な暴動ではなく、ドナルド・トランプ前大統領とその取り巻きが共謀して、合法的に行われた大統領選の結果を覆そうとする、民主主義制度と政府転覆の試みだったという事実が徐々に露呈してきている。

 そのようななかで、襲撃事件当日やその前後のトランプ氏の言動や、ホワイトハウスの記録を同国の国立公文書記録管理局(NARA)に要求していた同委員会に渡された文書の中に、破られ、テープでつなぎ合わされた文書が出てきたことや、そして同委員会のトランプ氏側近へのインタビューから、同氏が在任中に大統領の記録保存を定めた「大統領記録法」を日常的に破り、あらゆる文書を破り捨てていたことなどが次第に明らかになり、トランプ氏が新たなトラブルに陥る可能性が高くなってきた。

◆トランプ氏自宅から文書15箱押収
 ワシントンポストによると、トランプ氏は在任中、ブリーフィングやスケジュール、記事、手紙、メモなど、重要なものからそうでないものまで、ありとあらゆる書類を破り捨てていた。また記事によると、トランプ氏と一部の側近は頻繁に書類を破壊するための「バーンバッグ」と呼ばれる機密書類廃棄袋に入れており、在任中にどれだけの書類が完全に失われたのかは不明という。

 しかし問題はそこからさらに発展した。NBCニュースによると、トランプ氏は退任時、ホワイトハウスから大量の文書を違法に持ち出し、フロリダ州にある自宅マーアーラゴに移送して保管していたのである。NARAによると、同局では今年1月中旬、トランプ氏自宅から15箱に上る大統領時代の書類を運び出した。この中には北朝鮮の金正恩総書記からの手紙や、バラク・オバマ元大統領からの手紙なども含まれていたという。

Text by 川島 実佳