トランプ氏、コロナ陽性公表せず500人以上と接触 元側近が暴露 本人は「フェイクニュース」と否定

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◆1回目の陽性判明から500人以上と接触
 討論会の際は、バイデン氏とトランプ氏は6フィート以上離れており、握手などもなく、また各自の演台の前にはプレキシガラスが設置されていたため、幸運にもバイデン氏やほかの人々が感染したという報告はなかった。しかし、トランプ氏の陽性が判明した(といわれる)9月26日前後の足跡をたどると、トランプ氏がいかに周囲に菌をまき散らしていたかが判明した。トランプ氏が陽性と診断された(と思われる)9月26日からの7日間を追ったワシントンポスト紙(電子版)の報道によると、トランプ氏はその後も感染予防の措置をとった様子がないまま、ホワイトハウスで行われた最高裁判所の新判事指名のセレモニーや、同じくホワイトハウス内で、戦死した軍人の家族と交流するイベントに出席しており、500人以上の人々と接触した恐れがあるという。トランプ氏の陽性判明後、ホワイトハウス内でも新型コロナが大流行し、メラニア夫人をはじめ、ケリーアン・コンウェイ氏やケイリー・マケナニー元大統領報道官、討論会のサポートをしていたクリス・クリスティー元ニュージャージー州知事などが感染したことは記憶に新しい。

 この件については、メドウズ氏の著書が発売された後に再び話題に上るだろう。しかし、仮にトランプ氏が陽性と知っていて行動していたとしても、トランプ氏に何らかの罰が与えられるかについては疑わしい。バイデン大統領もこれについて「私は前大統領のことは考えない」と短いコメントをしただけで、それ以上追及しようとは考えていないことをほのめかしている。

 しかし、米疾病対策センターによると、アメリカでは多くの州で、性病を含む感染症を知りながらほかの人々に感染させた場合、有罪になる法律がある。ワシントンDCではとくにこのような法律は定められていないようだが、もしトランプ氏の危険を顧みない行動から感染した人々が訴訟を起こした場合は、何らかの責任を負う可能性も捨てきれないだろう。

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Text by 川島 実佳