「トランプVS反トランプ」の大統領選から見えた米国の姿

John Raoux / AP Photo

 米国大統領選挙の結果、民主党のバイデン氏が勝利した。今回の大統領選挙で現時点のバイデン氏の獲得総数は7700万票、トランプ大統領が7200万票となり、双方とも12年前にオバマ氏が記録した6950万票(歴代最多)を上回る結果となった。また、4年前にトランプ氏が獲得した票数は6300万だったことから、トランプ票もおよそ900万票増えている。今回の大統領選挙からは何が見えるだろうか。

◆分断が進むアメリカ
 今回、バイデン氏もトランプ大統領も記録を更新する数字を叩き出したわけだが、当然ながら投票率の増加が大きく起因している。しかし、ここで注目したいのはトランプ大統領の得票数である。単純計算だが、上述したようにこの4年間でトランプ大統領を支持する市民は900万人も増えたことになる。我々はこの4年間、メディアがトランプ大統領を内政や外交で度外視、異端児扱いするような報道を何回も見てきた。そうであれば、今回の大統領選挙でトランプ大統領が再選できるはずがない、米国民の品格が問われているなどと思った人々も多くいたはずだが、結果論、トランプ支持者は増えているのだ。まさに、米国内では分断が進んでいる。

 しかも、それはバイデン政権になっても続く可能性が高い。バイデン氏は中国などに対峙するだけでなく、これまでになく「内なる脅威」に直面しそうだ。

Text by 和田大樹