トランプ氏とバイデン氏で真逆、気候変動・環境問題への考え方

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 9月29日に行われた1回目の米大統領候補者討論会は、これまでで最もひどい討論会と報道された。ドナルド・トランプ大統領が、司会者と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領の発言を何度も遮って一方的に持論を展開し、討論は何度も中断された。その討論会のなかのひとつのトピックとしても取り上げられた環境問題。トランプ大統領とバイデン氏の考えは真っ向から対立する。

◆大統領候補二人の真逆の考え
 トランプ大統領は、地球温暖化対策に一貫して否定的な立場をとっている。さまざまな機関や企業から報告書が提出され、気候変動が経済に悪影響を与えるという主要な連邦報告書の調査結果(13の連邦機関を含む300人の専門家から)でさえも「信じない」と一蹴した。そして昨年、アメリカの雑誌タイムが世界で最も影響を与えた「2019年の顔」に地球温暖化対策を訴えるスウェーデンの17歳、グレタ・トゥーンベリ氏を選んだ際も「とてもばかげている。彼女はアンガーマネジメント問題をどうにかするべきだ」とツイートした。環境活動家として世界で最も影響力のあるトゥーンベリ氏に「友達と古きよき映画にでも行って落ち着きなさい」などと嘲笑した。対照的にバイデン氏は、気候変動は大きな脅威であると信じている。バイデン氏のキャンペーンは、5兆ドル計画で環境を保護することを約束し、2050年までに温室効果ガス排出をゼロに到達することを目指すことでトランプ政権の政策に対抗する。

◆水質汚染、自然災害、石油とガスの掘削
 トランプ政権は、世界中の飲料水の水質が気候変動よりも大きな危機であると考えている。しかし、トランプ大統領は今年1月、前オバマ政権が導入した「水質浄化ルール」を撤回した。これは、規制の負担が大きいと訴える農家や関係者への選挙公約を果たすために行われた。一方、バイデン氏のキャンペーンウェブサイトによると、環境を故意に害したり、環境と健康のリスクに関する情報を隠す「人々の健康より利益優先」の化石燃料会社や「およびその他の汚染者」に対して行動を起こすことによって、すべての地域が安全な飲料水を確保し、ミシガン州フリントなどの脆弱なコミュニティの水質汚染を防ぐことを約束している。

Text by sayaka ishida