米国、新型コロナ給付金第2弾はあるのか? 議会が討議中

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 3月13日にトランプ大統領が新型コロナウイルスに対する非常事態宣言を発動して以来、アメリカ各州ではロックダウンや渡航規制により一部の経済活動がストップし、失業したり一時解雇されたりする人々が相次いだ。各州のシステムによるが、失業保険を申請してから受理するまでは通常2~3週間程度かかる。貧富の差が激しく、普段貯金をしている人が少ないアメリカでは、急な経済危機で生活に困窮する人が続出。4月上旬には急場をしのぐために「ケアズ・アクト(CARES ACT)」が可決した。

 この法令では規模を問わずさまざまなビジネスの救済措置が行われたほか、条件を満たすアメリカ人および合法的移民の納税者に対し、大人1人1200ドル(約13万円)、子供1人500ドル(約5万4000円)の給付金が支給された(一定以下の年収の場合)。

 大人1人1200ドルというと少ない感じがするが、夫婦、子供3人の5人家族ならば3900ドル(約42万円)となり、物価の低い州ならば家族5人でも1ヶ月十分暮らせる額だ。しかし独身者の場合、1200ドルでは家賃分にもならない場合もある。どちらにしてもこれだけで当分暮らせる、という額ではないことは確かである。

 一度きりの給付金支給ではほとんど国民の生活の助けにならないため、いまアメリカ議会ではおもに民主党議員が中心となって複数の「新型コロナ給付金第2弾」が議論されている。

◆月2000ドル1年間支給の法案が提出
 経済情報サイト『キプリンガー』によると、民主党の下院議員2人が4月、条件を満たす場合16歳以上に1人2000ドル(約22万円)まで、それ以下の子供(3人まで)1人500ドルを1年間まで支給する景気刺激法案を提出。この法案では条件を満たす家族5人の場合、1家庭に月5500ドル(約59万円)が支給されることになる。もし可決されれば多数の国民にとって嬉しいことには違いない。しかし普段この額より少ない収入しかない人々も多くいるなか、ほぼ無条件で月々これだけの額を支給すると、人々の労働意欲を奪う恐れがあることは否めない。いまの時点では、この法案が可決される可能性は低いと思われる。

Text by 川島 実佳