「布マスク配布、日本に続く国も」海外で見直される布マスクの効果

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◆グローバル化が原因 世界的マスク不足
 国内ではいまさら布マスクかという批判も出ているが、使い捨てマスクの品薄は日本だけでなく世界各地で起きている。いまのような需要は、新型コロナウイルス感染が拡大するまで予測されていたはずはなく、多くの国々が中国のような労働力の安い国で生産されたマスクを輸入してきた。

 ワイアードによれば、マスクのような低価格で輸送の楽な商品は、海外生産に向いており、アメリカでは医療用マスクの95%、N95マスクなどの微粒子用マスクの70%は海外生産だという。マスクの原材料も中国を中心に海外製造されている。3Mなどの国内に残る工場が増産体制で生産しているが、とても急増する需要には追いつかない。日本も同じような状況で、使い捨てマスクの不足は、利益と効率を追求するグローバル化がもたらした世界共通の問題といえる。

◆世界も注目、布マスクに一定の効果か?
 安倍政権は、医療機関に医療用マスクの配布を優先し、一般市民には布マスクで対応という方針だ。BBCによれば、アメリカでは限られたマスクは患者を守るという重要な役割を担っている医療従事者など最も必要な人のために残しておくというのが幅広く一致した意見だという。この点は安倍政権の考えと同じだ。

 そもそもこれまで欧米では一般人のマスクは必要なしとされてきたが、無症状者からの感染を防ぐうえでは、マスクの着用にメリットがあるという見解を示す専門家が増えているとBBCは述べている。マスクが不足しているため、最近アメリカでは医療用ではない布のマスクを勧めるようになっており、ここでも安倍政権の考えに通じるものがある。

 CNNは、布マスクは医療用や微粒子用マスクほど効果的ではないが、限定的な保護効果はあり、作成も簡単だと述べている。アメリカでは医療機関でマスクが不足している状況を助けようと、医療従事者のために手作りマスクを作成する人々もいるということだ。

 マスクの供給が減り、感染者が増え、医療従事者が最悪の事態に備えるなか、市民に布マスクを配布する国は日本以外にも出てきそうだとCNNは述べている。一家に2枚は確かに十分ではないが、感染防止の一助としての布マスク配布は、意外に妥当なのかもしれない。

Text by 山川 真智子