トランプ氏の無関心が裏目か 米でコロナウイルス感染拡大

Evan Vucci / AP Photo

 アジア各国における新型コロナウイルス感染制御が徐々に効果を発しているようにみられるなか、欧米での感染が爆発的に広がっている。中国や韓国、日本などアジア各国でウイルス感染が拡大している時点で十分対策を練る時間があったはずだが、これは「対岸の火事」で自分たちの国には来ない、来ても簡単に対応できるとでも思っていたのだろうか。
 
◆新型コロナウイルスは「民主党の陰謀」
 トランプ大統領はとくに、ウイルス発生当初からその存在や重要性自体に否定的な発言を繰り返してきた。トランプ氏は2月27日、サウスカロライナ州チャールストンで行われた選挙集会で、新型コロナウイルスが「民主党のでっちあげだ」「民主党は新型コロナウイルスを政治化しようとしている」と述べ、ウイルスが自分の再選を妨げるための陰謀であるかのような発言をした(CNBC)。

 また、トランプ氏は「アメリカ人の(新型コロナウイルス感染は)リスクはいまのところとても低い」と発言した(NBCニュース)。アメリカのワシントン州などで新型コロナウイルス感染による多くの死者が出た後の3月9日になってもツイッターで、「去年は3万7000人がインフルエンザで死亡した。(インフルエンザの死者は)平均的に毎年2万7000人から7万人だ。なにも閉鎖されないし、経済は続いていく。いまの時点で(新型)コロナウイルスの感染者は546人、死者は22人。考えてみてほしい」と投稿。インフルエンザの死者のほうが圧倒的に多いことは確かだが、新型コロナウイルスはワクチンも完全な治療法もなく、いまの時点では未知の存在ともいえる。その危険性を軽視している姿勢をトランプ氏は見せた。

Text by 川島 実佳