「いずれ中国は民主化する」が外れた理由 天安門事件から30年、封じられた言論

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◆監視の強化 自由な議論も困難
 新たな民主化運動を阻止するため、中国政府はさらに人工知能(AI)や顔認証技術を駆使し、監視の目を強めている。ロイターによると、30周年を前に、天安門広場ではロボットセンサーがフル稼働していた。ネットの検閲のほうもAIで自動化されており、日付、映像、関連する名前などを含むネット上の情報は、高い精度で除外される。AFPによると、活動家たちは暗号化されたメッセージアプリで連絡を取っているが、大規模なビデオ監視システムのために、実際に集まって話し合うことが難しくなっているということだ。

 さらに、中国政府の影響力は大学などにも浸透し、独立系書店などを含む「リベラル空間」も摘発を受け、いまでは市民が改革を話し合うことさえ難しくなっている。民主化活動家の胡佳氏は、言論の自由は自由のスタート地点なのに、それさえなければ、次の天安門など考えることもできないとしている(AFP)。

◆個人の権利も政府の敵? 一党独裁は続く
 ガーディアン紙によれば、民主化運動に代わって現在中国で起きているのは、教育の機会の平等、労働者保護、住宅の権利、憲法や法律順守などのより控えめなゴールを掲げる活動家たちの運動だという。こういった活動は堂々と親民主主義や政治的立ち位置を掲げて行っているわけではないが、政府はこのような活動家も国家の敵として扱っていると人権擁護団体「China Human Rights Defenders」のフランシス・イブ氏は語っている。民主化運動どころか、生活や権利を守るための主張さえ目をつけられるということだ。

                                                                                                                 

 結局いまのような監視だらけで自由な発言も封じられた中国では、民主化運動は不可能だというのが多くのメディアや識者の結論だ。そして元北京青年報の編集者、李大同氏は、天安門のころの学生たちと違い、いまの若者は中国の豊かさのおかげでこん睡状態にあるとし、中国で民主化活動が起こらないもう一つの理由は、まさにこれだと述べている(AFP)。

Text by 山川 真智子