「コミュ力が低い」EU離脱混迷、批判の矛先はメイ首相にも

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 イギリスのEU離脱が迷走を続けている。すでにメイ首相の離脱案は3回否決され、過半数が取れる代替案もないお寒い状況だ。離脱協定が承認されないため、離脱日は当初の3月29日から4月12日に延期されたが、メイ首相はさらに延期をEUに求める方針だと報じられている。このような事態になったのは適切なリーダーシップを取れなかったメイ首相自身の責任という厳しい意見も出ている。

◆そして誰もいなくなった 安全パイだったメイ首相
 メイ首相はもともと残留派だったが、国民投票で離脱派が過半数となり、キャメロン前首相が辞任したため首相に選ばれた。英オブザーバー紙の主任政治解説員のアンドリュー・ローンズリー氏は、選ばれた理由は当時適任だったからだとしている。メイ氏は有権者にも人気があり、ボリス・ジョンソン氏やマイケル・ゴーブ氏などの本命が逃げ出したあとに、落ち着きと常識を取り戻してくれる存在として認識されたという(ガーディアン紙)。

 米公共放送PBSによれば、政界やビジネス界では、体制立て直しのために女性リーダーを選ぶ、「グラス・クリフ(ガラスの崖)」と呼ばれる状況がよくあるという。女性を選ぶことで大胆で新しいイメージを打ち出すことができ、メイ首相にもそういった効果が期待されていたのではないかとしている。

Text by 山川 真智子