不法滞在者も対象、NY市が「市民皆保険」提供へ 独自に改革に乗り出す地方自治体

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◆カリフォルニアやワシントンが州の健康保険を改革 
 また弱体化するオバマケアやトランプ大統領に見切りをつけ、独自のヘルスケア拡大や設立を試みている州政府もある。17日付のロサンジェルス・タイムズ(電子版)によると、昨年の中間選挙でカリフォルニア州知事選に当選し、1月に就任したばかりのギャビン・ニューサム知事は、同州政府が低所得者層に提供するヘルスケアプログラム「メディ・カル(Medi-Cal)」を同州内に居住する低所得層の不法滞在者も加入できるよう改正する提案を発表した。

 記事でニューサム知事は不法滞在者を加入させる理由について、保険がない不法滞在者は病気が重くなるまで待ち、法により患者を拒絶できない緊急治療室に行くことが多いことを挙げた。確かに、その場合さらに州が負担するコストが上がると思われる。

 また、1月9日付 AP通信の報道によると、ワシントン州のジェイ・インスリー知事も、民間の健康保険に加入していない州民が加入可能な州運営の健康保険プログラム設立を提案している。

 トランプ大統領が在任中の今、アメリカでは連邦政府による医療制度の改善はまず期待できない。2020年の大統領選に向け、医療制度改革を狙う民主党の州知事や市長が、今後も続々と州や自治体の公的健康保険制度改革を続けていくことが予想される。

Text by 川島 実佳