フランス暴動デモ、マクロン大統領の失敗とは? 温暖化対策と格差をめぐる問題

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 政府が発表した燃料税の増税をきっかけに、フランスでは黄色いベスト運動と呼ばれる全国的な抗議運動が勃発した。怒れる市民の暴動や破壊行為が政情不安を招き、政府が増税延期を表明する事態となった。気候変動を食い止めるには化石燃料への増税が有効と主張するマクロン大統領だが、欧米の識者やメディアは同氏の失敗は低所得者層へのケアを怠ったことだと見ている。

◆国民の不満爆発 温暖化対策は政治的リスク?
 今回のフランスの事件は、炭素税が各国の政治家のキャリアにとってのリスクとなるというメッセージだったと政治誌ポリティコは述べる。どうすればカーボン・ニュートラル(二酸化炭素の排出を吸収で相殺すること)な経済を作れるのかという議論が進むなか、悪い教訓となる危険性があるとしている。

 地球の環境変化をテクノロジーと管理力で抑制しようとする団体「Anthropos Initiative」の創設者、ローリー・ガレット氏は、マクロン氏は気候変動と温室効果ガス低減を国内外の政策の中心に据えていたが、黄色いベストの国民によって、劇的な失敗に直面することとなったと述べる。大統領の支持率低下もさることながら、温暖化を抑えようとする政治力のある人々にとっても、フランスの暴動はぞっとするシグナルだとしている(CNN)。

Text by 山川 真智子