「性的不品行」を告発する者が続々……泥沼化した米最高裁判事の指名問題

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 今年7月にトランプ米大統領から最高裁判事候補として指名された保守派のブレット・カバノー氏。当初、共和党員が過半数を占める米上院の承認を問題なく受けるとみられていたが、同氏の高校・大学時代の飲酒問題と「性的不品行疑惑」が持ち上がり、それが危ぶまれていた。6日に行われた上院の採決で賛成50、反対48の賛成多数で正式に就任が決まったが、この問題で巻き起こった与野党の応酬は11月の中間選挙など、今後にも影響を及ぼしそうだ。

◆第2、第3の告発者が浮上
 比較的順調に進んでいると思われた同氏の最高裁判事承認過程に「爆弾」が投げ込まれたのは、カリフォルニアの大学で心理学教授を務めるクリスティン・ブレイジー・フォード教授が、カバノー氏に性的暴行を受けたと告発したことからだった。USAトゥデイ(電子版)の9月23日付報道によると、1982年、当時17歳の高校生だったカバノー氏に、15歳だったフォード教授はパーティーで体を押さえつけられ、口を手で塞がれて服を脱がされそうになったと民主党のダイアン・フェインシュタイン上院議員への手紙で証言。カバノー氏の疑惑は、この手紙がメディアにリークされたことから浮上した。カバノー氏はこの疑惑を真っ向から否定している。

 そんななかで、カバノー氏を告発する第2、第3の女性が名乗りを挙げた。ニューヨーカー誌(電子版)は、第2の告発者でコロラド州在住のデボラ・ラミレスさんが、イェール大学在学中、パーティーで酔った際に、同じく酔ったカバノー氏に性器を顔に押し付けられたと報道。

 そして、第3の告発者は意外な人物から明かされた。トランプ大統領と不倫関係にあったとされるポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんの弁護士、マイケル・アベナッティ氏である。
 
 アベナッティ氏はツイッターで9月23日、「信用のおける(カバノー氏による性的暴行についての)情報を持つ女性の弁護を担当している」と発言。首都ワシントンのNBC系ニュース局、NEWS 4(電子版)の9月26日付報道によると、アベナッティ氏が弁護を担当するジュリー・スウェトニックさんは高校生の頃、カバノー氏と友人のマーク・ジャッジ氏が参加していたパーティーで「薬を盛られて、男性数人にレイプされた」、またカバノー氏とジャッジ氏が「パーティーでレイプの順番を並んで待っていた」とも証言した。

 これがもし真実であれば偽証どころの騒ぎではなく、カバノー氏は重罪をおかしたことになる。

Text by 川島 実佳