ロシア疑惑捜査に打撃? トランプ大統領が公開急ぐ「秘密メモ」の内容とは

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 米首都ワシントンで、ある「メモ」の内容とその公開を巡り、共和党と民主党の攻防が続いている。問題となっているのは、下院情報委員会の委員長を務めるデビン・ニューネス下院議員(共和党、カリフォルニア州選出)が書いた4ページのメモである。メモの内容は一般に公開されていないが、トランプ陣営が捜査対象となっている大統領選ロシア共謀疑惑捜査に決定的に打撃を与える情報が含まれているという。

◆共和党が公開を推す「秘密メモ」その内容とは
 米ニュースサイト『ヴォックス』の1月30日付記事によると、このメモにはオバマ大統領在任時の2016年、米連邦捜査局(FBI)がトランプ陣営の顧問を務めていたカーター・ペイジ氏がロシアのスパイである可能性があるとして捜査を始めたことにあったという。その捜査を開始したきっかけが、英国の元情報部員が提供したトランプ氏に関する秘密の調査書にあったというのだ。この調査を最初に依頼したのは共和党系機関であったが、途中から大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官がそれを受け継いだ。

 メモは、現在トランプ氏の捜査を行っているFBI捜査員が、大統領選中にヒラリー・クリントン氏を当選させるために秘密裏に動いていた…という内容であるらしい。CNNの1月29日付報道によると、下院情報委員会では同日、民主党メンバーの反対を押し切りメモの公開を決定した。

 どうやら共和党員の多くはトランプ氏を守るために、メモを公開することにより、FBIが「反トランプ機関」であり、ロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査自体が胡散臭いものであることをアピールしたい意思であるようだ。

◆メモは「フェイク」? 信憑性の低いニューネス議員の言動
 このメモをすぐに公開せず、ドラマを長引かせ注目を集めてから公開しようと目論んでいるらしい共和党に対し、民主党は猛烈に反発している。

 1月30日付 CNNの報道によると、ニューネス議員と同じく下院情報委員会に席をおくアダム・シフ議員(民主党)は、ニューネス氏のメモに対抗し証拠となる書類を読んだ上で10頁のメモを自分自身で書き、FBIの捜査が正当な手順を踏んでいたことを明かした。またシフ議員はニューネス議員のメモが「起こったことをひどく歪曲している都合のいい部分だけを公表し、ロシア疑惑捜査の信用を損ねようとしている」と非難した。

 またカリフォルニア州選出のテッド・リュー下院議員(民主党)はツイッターで、「アダム・シフ議員が書いた民主党のメモ(デビン・ニューネスと違いちゃんと資料を読んで書いた)を国会議員は読むことが可能だ。(中略)これを読めば、ニューネス議員の書いたメモがどれだけ誤解を招く恐れがあるかがはっきり分かる」と述べている。

 またニュースサイト『デイリービースト』は1月30日付記事で、ニューネス議員は同じく下院情報委員会に属するマイク・クイグリー議員(民主党)に「このメモを書くためにホワイトハウスと相談していたのか」とズバリ聞かれ、しどろもどろになって「その質問には答えない」と述べたと報道した。

 ニューネス議員はこれまでにもトランプ政権に捜査内容を漏らしたり、同政権から指示された情報を公表したりしたことが明るみに出た経緯がある、かなりトランプ政権寄りの人物だ。その彼が書いたメモの内容が公正である可能性は低く、信憑性が薄いとも言える。

 CNNの30日付報道によると、トランプ大統領はこのメモを1月30日の一般教書演説後「一刻も早く公開したい」と話しているという。どうやらニューネス議員のメモを公開し、自分がでたらめな捜査の「被害者」であることを強調したいようだ。

 現在の状況では、メモは近日公開されそうな流れではある。しかし、今後ニューネス議員がメモ執筆についてホワイトハウスから指示を受けていた可能性が明るみに出た場合、このメモがホワイトハウスと共和党の茶番であることの証明となり、共和党にとっての危ない「墓穴掘り」になる可能性があることは否定できないだろう。

Text by 川島 実佳