中国にも好都合? 日本の国防強化の影響を海外紙が分析

 17日、新設の国家安全保障会議が、今後10年間の新しい防衛大綱と、2014~18年度中期防衛力整備計画を発表した。民主党政権時代の指針が3年で改定されることになる。

 海外各紙は、中国の脅威がより明確に言及されていると報じている。5年間の防衛予算は24.7兆円が要求されており、従来よりおよそ1兆円の増額である。なお中国軍の予算は10年で倍以上に急増している。

【海上紛争重視への再編】
 計画では、自衛隊の総兵力には大きな変化はないが、ロシア(ソ連)侵攻を意識した冷戦期の想定から、水際戦闘を重視した戦力構成への転換が提唱されている。購入装備としては装甲戦闘車99両、オスプレイ可変翼ヘリ17機、水陸両用車52両、護衛艦7隻、潜水艦6隻、P1パトロール機23機、F35戦闘機28機、C2輸送機10機、新型早期警戒機4機、新型空中給油機3機、グローバルホーク無人偵察機3機、などと報じられている。こうした装備を用いて創設されるのが上陸作戦用の水陸両用旅団で、「実質的な海兵隊」と評されている。

 フィナンシャル・タイムズ紙は、「平和を愛する国家として、これまでに取った路線を固守」しつつも「自らの能力を強化」し、「主要グローバルプレーヤーとして、さらに積極的な役割を」担う、との主張を伝えている。また、武器輸出禁止原則を正式撤廃し、国際的な武器開発プロジェクトへ参加し易くすべきだとも書かれている。

【軍拡の先に何があるのか】
 BBCは、憲法裁解釈、愛国教育、秘密保持法の強行成立などにも言及。防衛計画そのものは責任ある政府として必要なものであると報じた。ただし、安倍首相をはじめとする日本の「古い右派」は、リベラル派からは徹底的に信用されていないと解説した。彼らは、安倍首相らナショナリストの望みは、「天皇が神であり菊の玉座への忠誠がすべてに優先した戦前の時代に日本を戻したい」ことであって、中国の脅威はそのために利用されていると疑っているのだと報じている。

 一方、フォーブス誌のコラムは、12月5日に起きた中国艦による米巡洋艦カウペンスの進路妨害事件など、緊張増大につながる事件の頻発を指摘。そのうえで、日本の軍備強化は、アメリカにも、それどころか中国にも好都合だと示唆している。日米安保条約実質破棄の口実になり、それによって米中が直接、習近平中国主席の言う「新しいタイプの超大国関係」を築くことができるからだという。

Text by NewSphere 編集部