ネット選挙運動解禁 可能性と課題は?

 インターネットを使った選挙運動が、今夏の参院選から解禁されることになった。与野党は13日に協議を行い、今国会中に公職選挙法を改正することで一致した。
 現行の公職選挙法は、選挙運動の公平性を保つため、ポスターやビラなど「文書図画」の種類や数を制限している。ブログやメール、SNSの書き込みなども「文書図画」にあたるとされ、選挙期間中これらの利用はできなかった。ネットで積極的に発信する候補者が、選挙期間中に発信できなくなるという、不合理な状態になっていたため、各党はさきの衆院選でネット選挙運動解禁を公約に掲げていた。
 では、具体的に何がどう変わるのか。リスクは何か。各紙はこうした点に注目して報じている。

 読売新聞は1面・2面を使い大きく報じている。現行の公選法での制限内容、近年ネットの利用が急速に拡大していること、一度は与野党で合意が得られていたこと(鳩山元首相の退陣で流れた)などが、今回の解禁合意につながったと報じている。
 法改正により、ホームページ・ブログに加え、ツイッターやフェイスブックなどのSNSについて、政党や候補者、第三者の利用が全面的に解禁される見通しと報じている。なお安倍首相自身、フェイスブックでの情報発信に力を入れており、ほぼ毎日活動報告などを行なっている。週刊誌の報道に「捏造記事」と反論することもある。安倍首相のフォロワーは22万人。

 今後調整が必要な部分としては、メールの送信と有料バナー広告の扱いを挙げた。朝日新聞によると、自公両党はメール選挙運動を政党と候補者に限定する案を提示したが、民主・みんな・共産各党は全面解禁を求めているという。読売新聞によると、当初の自民案は第三者も含めたが公明党が反対したという。誹謗中傷の横行を懸念したためだと報じられている。「なりすまし」に対しては「公民権停止」も含めた厳しい罰則を盛り込んだようだ。
 バナー広告については、対象範囲をどこまで認めるかが、協議の焦点になると報じられている。産経新聞によると、与党案では政党のバナー広告は容認する方針とのことだ。

 ネット選挙運動の解禁の評価について、読売新聞は、“抽象的なイメージ向上策や名前のPRだけに使われるなら意味はない”としたうえで、“豊富なデータを使って公約を比較しやすくするなど、ネットの特性を生かした政策本位の選挙戦に資するよう努力する必要がある”と述べた。有権者の政治参加の促進について期待を寄せる記述もあり、総じて、各党・各候補者の工夫次第で可能性が広がると前向きな姿勢のようだ。

 ちなみに朝日新聞・産経新聞の14日付朝刊では、事実関係を端的に伝えている。

Text by NewSphere 編集部