住人が遺体で発見も…米国の「ごみ屋敷」事情 40人に1人「捨てられない病」

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◆ごみ屋敷は精神疾患が原因 治療に新アプローチ
 英語圏では、ごみ屋敷の住人を「ホーダーズ」と呼ぶ。「ためこむ」という意味を持つ英単語「hoard」からきている。ホーダーズは、部屋を片付けられないだらしない人ではなく、「ホーディング障害(ためこみ症)」と言われる精神疾患を患っていることが多い。モノを捨てる、手放すという行為に、もったいないという気持ちをはるかに超える強迫観念を抱いてしまうのだ。また、孤独や社会的失敗などの何らかのストレスが引き金になり、捨てられなくなってしまうというケースもある。

 この精神疾患に対してはいくつかの治療法が確立されているが、代表的なものは認知行動療法(CBT)と呼ばれるものだ。物事の捉とらえ方や行動を見直し、ため込んでしまう気持ちや行動を管理する方法を学ばせるものだが、医療技術が進歩するなか、専門家たちは今、新しい治療法を模索している。

 その動きの一つとして、スタンフォード大学では、バーチャル・リアリティ技術を使った新しい戦略を模索している。ホーディング障害を患っている患者にバーチャル・リアリティ技術を使ってモノを捨てる感覚を体験させ、その利点を感じさせることでためこみを治療するものだ。実生活でモノを手放すように促すのはハードルが高いが、バーチャル・リアリティで練習してからなら、よりスムーズに行うことができる。Journal of Psychiatric Researchに掲載されたこの研究報告によれば、「参加者の78%が、バーチャル・リアリティが現実にモノを捨てることに役立った」と報告したという。

 現代社会では、経済的に豊かに、さらに便利になった反面、孤独を感じる人が増えた。ためこみによるごみ屋敷問題も、現代社会が増長させた問題だ。新型コロナウイルスのパンデミックで人とのつながりが希薄になり、さらに精神疾患を患ったり、ストレスを感じる人は増えている。現代社会がもたらした闇に、日進月歩の医療や科学技術が追いつく日が早く来ることに期待したい。

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Text by 西尾裕美