住人が遺体で発見も…米国の「ごみ屋敷」事情 40人に1人「捨てられない病」

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 住空間を片付けられない人は誰の身近にもいる。「面倒くさいし、特別なゲストが来ないのだったら家をピカピカにしておく必要はない」と感じていたり、仕事や学校で忙しすぎて「休みができたらまとめて掃除するから今は散らかっていてもいい」と思ったことは誰でも一度はあるだろう。しかしなかには、個人の手には負えない状態となる住空間、いわゆる「ごみ屋敷」を作り出してしまう人もいる。

◆ごみ屋敷はアメリカでも…
 「ごみ屋敷」は日本特有の問題ではなく、アメリカなどの諸外国でも問題視されている。日本では条例などを制定して自治体レベルで指導・支援を行うことが多いが、一軒の敷地面積が広く、個人の暮らしに干渉することが少ないアメリカでは行政の目が行き届かないことが多いという。近隣住民の生活環境に悪影響を与えているものの、法律に違反していない範囲であれば行政や警察は立ち入れず、業を煮やした親族らがメディアの協力を求めるというごみ屋敷の清掃を題材としたテレビ番組ができるほどだ。

 このようにモノを捨てることに困難を抱える人は、アメリカでは約2.6%(40人に1人)いるとされる。アメリカや日本など、非社会主義の先進工業諸国では安価な製品を簡単に手に入れることができる。そのため、人々は必要以上にモノを買い込んでしまう傾向にある。また、他人から見ればごみだが、本人にとっては手放しがたい物品であるため捨てられなかったり、「何かに使えるだろうからもったいない」と思って他人が捨てたものを積極的に持ち帰り、結局、家がごみの山となってしまったりすることも多いようだ。

 前述のテレビ番組などの影響でごみ屋敷に対する人々の意識も高まっているが、家のモノを片付けられない問題を抱えている人たちは、その事実を秘密にしたがる傾向が強く、隠れごみ屋敷も多い。

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Text by 西尾裕美