蚊の恐怖と、遺伝子操作というパンドラの箱

James D. Gathany / Wikimedia Commons

◆蚊が人間の存続を脅かす?
 ウィンガード氏はMaclean’s誌に「マラリアで一番恐ろしいことは、多くの子供が犠牲になることである」と語る。マラリアは子供の死亡率が非常に高い。ただ人が死ぬということではなく、子供がかかりやすいことが大問題だと同氏が語る理由として、「(マラリアにかかって)20歳で死ぬことと5歳で死ぬことの違いは何か。5歳で死ぬと人間が種として繁殖できなくなることである」と続ける。

 つまり蚊は、人間の種としての存続さえ脅かす可能性もある生き物だというのだ。

◆生き残るのは人間か、蚊か?
 今年6月、CNNなど各メディアがフロリダ州で遺伝子操作されたオスの蚊を放つことにゴーサインが出たというニュースを伝えた。2022年にかけてのパイロットプログラムとのことだ。この遺伝子操作されたオスと自然界で生活するメスが交尾すると、生まれた幼虫は成虫になるまでにほとんどが死亡するという。

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Text by 西尾裕美