ブルーホールはどうやってできた?世界各国の不思議な地形を紹介

ブルーホールはどうやってできた?世界各国の不思議な地形を紹介

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まるで海に青い穴が開いたように見えるブルーホールは、世界各国で確認されている。その美しい景観からダイバーを中心に人気となっているが、どのように発生したか知らない人も多い。

この記事では、ブルーホールができた理由や、世界各国の不思議な地形を紹介する。ブルーホールの謎を知り、ぜひその魅力に触れてほしい。

ブルーホールとは?

ブルーホールとは?

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ブルーホールとは、鍾乳洞や洞窟が海中に水没し、大きな穴のようになった地形のことである。海中の一部分だけ水深が深くなり、上空から見るとその部分が穴が開いたように濃く見えることから名付けられた。

ブルーホールは世界各国に点在しており、中米ベリーズのグレート・ブルーホールや日本の渡名喜島の島尻崎ホールなどが有名である。

ブルーホールができた理由

ブルーホールは、サンゴの死骸などが原因でできた陸地が中心部のみ地下水に浸食されて陥没し、海面上昇によって陸地が海に沈んだことでできたとされている。

ブルーホールの深さ

ブルーホールの深さと幅は、およそ100m~300mほどといわれている。以下は、世界の巨大なブルーホールの比較である。

深さ
ベリーズ(グレート・ブルーホール)125m318m
南シナ海(ドラゴンホール)300.89m130m
メキシコ(ターム・ヤ・ブルーホール)274m13,660㎡0m(面積)

ベリーズにあるグレート・ブルーホールの幅は318m。これは世界に点在するブルーホールの中で最も大きいといわれている。

深さでは、世界一深いブルーホールとされる南シナ海のパラセル諸島沖のドラゴンホールが300.89m。2番目に深いとされているメキシコのターム・ヤ・ブルーホールが274mを誇る。

世界のブルーホール11選

世界のブルーホール11選

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世界各国には、色や形、深さなど、さまざまな特徴をもったブルーホールが存在する。

ここからは、世界のブルーホールを11個紹介する。

ベリーズ(グレート・ブルーホール)

ベリーズ(グレート・ブルーホール)

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カリブ海に面した中米ベリーズの「グレート・ブルーホール」は、その美しい景観からベリーズ珊瑚礁保護区の名称で世界遺産(自然遺産)に登録されている。直径約318m、深さ約125mという圧倒的な大きさを誇り、別名「海の怪物の寝床」とも呼ばれている。

また、ユカタン半島の南東部に位置するベリーズは、年間を通じて高温多湿な気候が特徴だ。温暖な気候から海水の水温は常時20度以上に保たれており、ウミガメやイルカ、ジンベイザメなど、多種多様な生き物が生息している。

バヌアツ共和国(リリ・ブルーホール)

バヌアツ共和国(リリ・ブルーホール)

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南太平洋に位置するバヌアツ共和国のサント島にあるのが、「リリ・ブルーホール」だ。サント島には、「ジャッキーズ・ブルーホール」や「ナンダ・ブルーホール」など6つのブルーホールが点在しているが、とくに美しいのがリリ・ブルーホールである。

ブルーホールの中でも珍しい淡水で、神秘的な青い湖は12mほどの深さに加えて抜群の透明度を誇る。

南シナ海(ドラゴンホール)

南シナ海のパラセル諸島沖にある巨大なブルーホールが、「ドラゴンホール」である。通称「竜の穴」と呼ばれ、その深さは約300mにもおよぶ。

2016年に正式な深さが計測され、かつて1位であったバハマのディーンズ・ブルーホールを100mほど更新して世界一となった。

バハマ(ディーン・ブルーホール)

バハマ(ディーン・ブルーホール)

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西インド諸島に位置するバハマの「ディーン・ブルーホール」は、直径約100m、深さ約200mのブルーホールである。世界でも有数の深さを誇り、​世界で3番目に深いブルーホールとして記録されている。

また、その大きさと神秘的な青色の海は世界中のダイバーを虜にしており、フリーダイビングの世界大会も行われている。

エジプト・アラブ共和国(ダハブのブルーホール)

エジプト・アラブ共和国(ダハブのブルーホール)

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エジプト・アラブ共和国のシナイ半島に点在するのが、「ダハブのブルーホール」である。直径約60m、深さ約130mほどのブルーホールで、岸からすぐ近くに位置していることから、気軽にダイビングやシュノーケリングが楽しめる。

しかし、気軽にマリンスポーツを楽しめることが転じて数々の死亡事故が確認されており、「ダイバーの墓場」とも呼ばれている。

マルタ共和国(ゴゾ島のブルーホール)

マルタ共和国(ゴゾ島のブルーホール)

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マルタ共和国のゴゾ島に点在する「ゴゾ島のブルーホール」は、ダイビングスポットとして多くのダイバーに人気である。長さ約10m、幅約5m、深さ約18mほどの小さなブルーホールで、美しい深い青色のグラデーションが特徴だ。

ニューカレドニア(アワナのブルーホール)

ニューカレドニア(アワナのブルーホール)

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ニューカレドニアのウベア島にある「アワナのブルーホール」は、水深約90mほどのブルーホールだ。海水と淡水が混ざった濃紺で透明度の高い水が特徴で、通称「青の洞窟」ともいわれている。

また、水中の底は海とつながっており、小魚や亀などの生き物も数多く生息している。

グアム(ハート型のブルーホール)

グアム(ハート型のブルーホール)

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年間平均気温が26度の常夏のグアムには、「ハート型のブルーホール」が存在する。洞窟を深く潜った状態から見上げると、水深約18mの入口がハート型になって見える。

海の青さと太陽で明るく照らされた水面が神秘的な景観を作り出しており、絶好の写真スポットとなっている。

日本(宮古島の通り池)

日本(宮古島の通り池)

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沖縄県の宮古諸島から伊良部大橋で伊良部島に渡り、隣の下地島にあるふたつの池が通称「通り池」だ。海側に位置した池は直径約75m、深さは約50m。内陸側の池は直径約55m、深さは約40mの大きさがある。

また、ふたつの池は地下でつながっていて、その構造が名前の由来とされている。

日本(渡名喜島の島尻崎ホール)

日本(渡名喜島の島尻崎ホール)

出典:Facebook

沖縄県の渡名喜島にある「島尻崎ホール」は、色鮮やかな青い水が特徴のブルーホールである。入口の水深は約16m、出口の水深は約22mほどの大きさで、色鮮やかな魚たちが数多く生息している。

メキシコ(ターム・ヤ・ブルーホール)

メキシコのユカタン半島沖合にある「ターム・ヤ・ブルーホール」は、2023年に新たに発表されたブルーホールである。発見は2021年とされているが、2023年2月23日付で『Frontiers in Marine Science』で発表された。

その水深は約274mで、世界で最も深い南シナ海のドラゴンホールに次ぎ、2番目に深いとされている。

ブルーホールの楽しみ方4選

ブルーホールの楽しみ方4選

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世界屈指の絶景が楽しめるブルーホールでは、さまざまなアクティビティを体験することもできる。

ここからは、ブルーホールで楽しめるアクティビティを4つ紹介する。

シュノーケリング

シュノーケリングは、ゴーグルとシュノーケルを着用し、浅い水面を探索するアクティビティである。ライセンスが不要で溺れる心配も少ないので、マリンスポーツ初心者におすすめだ。

スキューバダイビング

スキューバダイビングは、空気が入ったタンクを背負い、海中深くを探索するマリンスポーツだ。ブルーホールは最大深さ300mにも達するので、マリンスポーツ上級者は体験してみてほしい。

遊覧飛行

遊覧飛行は、空からゆったりとブルーホールの地形を楽しめる。現地のツアーで予約が可能で、オプション料金を支払えば飛行機の貸切利用もできる。

スカイダイビング

スカイダイビングは、飛行機から勢いよく地上に落下していくスリルを味わえるアクティビティだ。現地のツアーで申し込みが可能で、ブルーホールの絶景を見ながら自然との一体感を楽しめる。

ブルーホールの事故事例

ブルーホールの事故事例

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さまざまなアクティビティや絶景が楽しめるブルーホールだが、死亡事故に至った例も数多く確認されている。その中でもとくに有名な事故が、エジプトのブルーホールで起こった世界的ダイバーであるユーリ・リプスキー氏の死亡事故だ。

リプスキー氏は高いスキルを持った世界的に有名なダイバーであったが、数人のダイバーたちとのダイビング中に突如海底へと沈んだ。当時、現地で共にダイビングをしていた友人たちは、誰も彼の異変に気づかなかったという。

ダイバーとして知識も経験もある彼が瞬く間に海底へと沈んでしまったのは、主に以下の要因が考えられる。

  • 重い装備を身にまとい過ぎた
  • ウェイトベストが破損した
  • 窒素中毒に陥った

今もなお、リプスキー氏の死因は明らかにされていないが、これらの要因が重なり死に至ったと考えられる。

ブルーホール周辺は有名なダイビングスポットが数多く点在しているので、マリンスポーツを楽しむ際は十分注意してほしい。

世界屈指の絶景が楽しめるブルーホールをぜひ旅してみよう

ブルーホールは、洞窟や鍾乳洞といった地形が地下水によって海中へ水没し、穴が開いたように見える地形のことである。世界各国には、ハート型の地形やふたつ連なったものなど、さまざまな特徴を持ったブルーホールが点在している。

また、ブルーホールは景色を楽しむだけではなく、マリンスポーツなどのアクティビティも体験できるので、ぜひ一度訪れてみてほしい。

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Text by NewSphere 編集部