グレートバリアリーフ、一部が観測史上最高の被覆率に 「危機遺産」指定を回避できるか

Great Barrier Reef Marine Park Authority via AP

 オーストラリア東海岸に位置する世界最大のサンゴ礁地帯「グレートバリアリーフ」では、温暖化の影響で過去30年に半分以上のサンゴが失われ、近年は大規模な白化が報告されていた。回復不能となる可能性も指摘されてきたが、今年は一部地域のサンゴの被覆率がモニタリング開始以来最高レベルを記録したと研究機関が発表した。

◆環境次第で回復 サンゴ礁復活か?
 オーストラリア海洋科学研究所(AIMS)は36年前にグレートバリアリーフのサンゴ礁の監視を開始した。同研究所の最新の報告書によれば、2021年8月から2022年5月に調査された87の代表的なサンゴ礁において、サンゴの被覆率は北部で前回の27%から36%に、中部で26%から33%にと、それぞれ観測開始以来最高となった。昨年のオニヒトデの大発生の影響が残る南部地域では、被覆度は38%から34%に減少していた。

 サンゴの大規模な白化現象の頻度は増加しているが、2016年と2017年に比べれば2020年と2022年の白化現象はそれほど激しくなかったという。その結果死んでしまうサンゴが減ったとAIMSのポール・ハーディスティCEOは見ており、強い妨害がない期間はサンゴ礁の回復が可能であることを証明したとしている。

Text by 山川 真智子