広がる「禁酒の1月」 フランスは政府の消極姿勢がネックか

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◆フランスでの普及は?
 ワイン消費大国のフランスでもドライ・ジャニュアリーが広まりつつあるようだ。フランスでキャンペーンが公式に開始したのは2020年で、フランス版の専用サイトで参加表明ができる。ワインやシャンパンを販売するフレシネ・グラシアン社の2022年の調査によれば、Z世代の若者たちの方がドライ・ジャニュアリーに対してより積極的な姿勢を示しており、ノンアルコール飲料の消費率も35歳以上の年齢層に比べて高いという結果だ。

 1月初めの時点で、昨年より15%多い1万7000人が参加表明したとのことだが、イギリスやアメリカに比べると参加者数は桁違いに少なく、キャンペーンが政府の後押しを得られていないことが一つの要因であると考えられているようだ。今年の1月には医師らがこの状況を鑑み、ル・モンドを通じて政府に対して改めて呼びかけを行った。国民の健康を考慮したアクションを起こして欲しいというのが狙いだ。フランス・アンフォによれば、過去、ドライ・ジャニュアリーを支持すべきかどうか政府でも議論されたが、2019年当時の保健相は承認しなかった。2023年にはフランス公衆衛生庁がドライ・ジャニュアリーはアルコール消費をコントロールする良い機会だとする声明を出したが、これに対してワイン業界関係者は懸念と危惧を示す書簡をマクロン大統領に送った。

 一方で、フランスでは年々ワインの消費量が減少しているという実状もある。低アルコールもしくはノンアルコールワインなどの開発も進んでいるが、その消費量はアルコール飲料全体の1%にも満たない。政府としては、国民の健康よりもワイン業界の維持により大きな関心を寄せているようである。

Text by MAKI NAKATA