不登校児の親に罰金の英、見直しを超党派議員求める 欠席率倍増に危機感

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◆保護者に対する罰金や起訴は逆効果
 「精神的問題を抱える子供の精神保健サービスを利用する際、待ち時間が非常に長いため、支援を必要とする児童が適切な支援をすぐに受けられないことも、家庭や学校に大きな負担をかけている」と委員会の保守党議員ロビン・ウォーカー氏は言う(ガーディアン紙、9/27)。

 教育省は現在、こうした児童の欠席を欠席扱いとして認定する項目を設けていない。報告書で委員会は、精神衛生上の問題は子供が学校を休む正当な理由とすべきであり、親への罰金は「最後の手段」にとどめるべきだとした。

 罰金(通常、自治体によって徴収される子供1人あたりの罰金は60ポンド)の実施については批判が出ているが、その批判を支持する全国教頭会のポール・ホワイトマン事務局長は「欠席が続く原因を突き止め、その根本原因に取り組まない限り、罰金を科したところで根本的な解決にはならないだろう」と述べた(ガーディアン紙)。

 ガーディアン紙は、罰金について教育省が全国的な方針を定めなかったため、どの家庭にどのような理由で罰金を科すかについて、自治体によって大きな違いが生じており、罰金の使い方が複雑になっている、と伝えた。

◆法的介入は最終手段に
 委員会は、罰金は低所得者層が直面する障害に対応しておらず、特に生活費が高騰するなか、困難な経済状況に拍車をかけ逆効果になりかねないと警告した。また、教育省に対し、学校や自治体が保護者に罰金を科したり起訴したりする前に、児童や家庭を支援する方法を模索し、法的介入は最終手段のみとするよう指導すべきであると勧告した。さらに、制服や交通費など就学に必要な費用を低所得世帯に支援する枠組みを見直し、低所得世帯への支援を適切に提示すべきことも指摘した。

 委員会は、罰金以外の対策として複数の提案を示した。深刻な精神衛生上の問題を抱える児童が、無断欠席として記録されることなく学校を休むことを認める、児童を無断欠席させた保護者に対する罰金の有無が地域によって異なる仕組みを廃止する、より多くの児童に学校給食を無料で提供すべきかどうかを検討するなどだ。

 教育省はパンデミック以降、出席率は改善され、大半の子供が通学し、学習していると述べた。また、出席率改善を促す目的のハブや子供のメンタープログラムを拡大するとともに、追加支援が必要な子供の特定を進めているとした。(ガーディアン紙)

Text by 中沢弘子