不登校児の親に罰金の英、見直しを超党派議員求める 欠席率倍増に危機感

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 イギリスのイングランド(イギリスを構成する4つの行政区域の一つ)でパンデミック以降、公立学校における児童の不登校が倍増している。同国では正当な理由なしで児童が欠席した場合、自治体が保護者に対して厳しい措置を講じる。正当な理由とは、学校が認めた病気、通院、親の死亡、受験などだ。これらの理由なしで児童を欠席させた場合、自治体から罰金の通知が届く。親が罰金を支払わない場合、起訴されることもある。にもかかわらず、児童を欠席させる保護者が増えているというのだ。政府はこの状況を「危機」と捉え、抜本的な対策の見直しを図っている。

◆パンデミック以降、児童の不登校が危機的状況
 英イングランドでパンデミック以降、公立学校で児童の欠席率が倍増しており、超党派国会議員の一部はこの危機的な状況を阻止するには、より厳しい措置を講じるべきだと声を上げている。

 同議員らで構成される教育特別委員会は1月、社会的に不利な立場に置かれている児童の不登校とその支援に関する調査を実施(2021/2022年度)。9月27日に公表した報告書に、児童の22.5%が持続的に休み、この割合はパンデミック前の約2倍にあたると指摘した。通学日数の10%以上を欠席した場合、持続欠席者となり、50%以上欠席した場合、重度持続欠席者となる。後者の割合は、パンデミック前の1%未満に対し1.7%に上昇した。パンデミック時に悪化した学校の欠席率に「顕著な改善は見られず」「非常に懸念される」と述べた。

Text by 中沢弘子