米政府機関がポップな音楽アルバムをリリース 若者に伝えたいメッセージとは

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◆楽曲テーマを裏付ける事故のデータ
 歌詞を意識しないで聴いていれば、普通のポップソングとも思えるほどの完成度だが、それぞれの楽曲のテーマには事故のデータの裏付けがある。たとえば、2013年から2022年までの年間平均で、13歳から24歳の若者の21.2万人が自転車などの乗り物に関連した負傷事故を起こしており、なかでも頭部の怪我が最も多くなっているとのことだ。一方、ATV四輪に関しては同期間の年間平均で、同年齢層の3万6000人の若者が怪我し、2015年から2019年の間においては合計3700人もの若者がATV関連の事故で死亡した。スペイン語バージョンの楽曲も含めると3曲がヘルメット着用に関連したものになっている理由は、こうした事故のデータに基づいているからだ。

 携帯電話に関しては、2013年から2022年までの年間平均で、13歳から24歳の若者の5100人が通行中などの携帯電話の使用に関連した事故で緊急治療室に運ばれている。火災に関しては、同期間の年間平均で7200人の同じ年齢層の若者が家での火災に関連した事故で緊急治療室に搬送された。この事故件数が極めて多いのかどうかを判断することは難しいが、安全対策をすることで防ぐことができる事故や怪我であるということが重要な点だ。

 CPSCがこのような楽曲アルバムをリリースしたのは初めてのことだが、同局はこれまでもユーチューブなどを通じて曲を発表するなど、消費者に対してさまざまな方法でメッセージを発信してきた経緯がある。今回のアルバム名に「第1弾」とあるのには製作者側の遊び心があるようだが、このアルバムが成功し、新たな予算を獲得できれば「第2弾」もリリースされるのかもしれない。話題性が安全対策の徹底につながるかに期待がかかる。

Text by MAKI NAKATA