飢餓人口が7.35億人に増加 30年の「飢餓ゼロ」は困難に 国連報告

Michele Ursi / Shutterstock.com

◆31億人以上が健康的な食生活にアクセスできない
 人々が健康的な食生活にアクセスできる割合も世界各地で悪化している。2021年には、世界の31億人以上(42%)が経済的な理由から健康的な食生活を手に入れることができなかった。2019年より1億3400万人増加した。

 トレロ氏によると、今回5機関は都市化の拡長に新たに着目し、農村部や郊外都市に居住する人々が大量消費市場の製品を消費していることを突き止めた。「農村部の人々はそこで生産された物を消費していると長く考えられてきましたが、そうではなかったのです」。農村部ではひと家族の食料バスケットの約30%が市場から購入されており、郊外都市や都市部ではその割合はさらに高いと説明した。つまり、それはより多くの加工食品を消費して栄養摂取していることを意味することになる。(AP)

 都市部と農村部との空間的格差は依然として維持されたままだ。食料不安は、農村部に住むより多くの人々に影響を及ぼしている。中程度または重度の食料不安は、農村部に住む成人の33.3%に、都市部では26%に影響を与えた。

 国連5機関の代表は、「2030年までに飢餓をゼロにするという持続可能な開発目標の達成は、明らかに困難な課題になっている。2030年には依然として約6億人が飢餓に直面していると我々は予測している。食料不安と栄養失調の主な要因は、我々の『ニューノーマル』にある。我々は持続可能な開発目標2(SDG2)の目標達成に向け、農業食料システムを変革し、それを活用する取り組みを倍加させる以外に、解決策はない」と報告書の序文で述べた。

Text by 中沢弘子