男性は座っておしっこしたほうが良い? 座るメリット、調査でわかった世界各国の状況

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◆ドイツ人、日本人は家族思い? 座る派が多数
 一方、ドイツ人男性は「いつも座る」が40%、「ほとんど座る」が22%となり、最も座る人が多い結果となった。「絶対に座らない」は10%しかいなかった。

 実はドイツでは、「sitzpinkler(シッツピンクラー)」という、座って排尿する男性を揶揄(やゆ)する言葉がある。ユーロニュースによれば、ドイツ国内では男性は立つべきか座るべきかという議論があり、「シッツピンクラー」は男らしくないとされつつも、一部のトイレには立って排尿することを禁じる張り紙などがあるということだ。

 世代間の違いもみられた。ドイツ人男性では55歳以上のほうが18~34歳よりも座って排尿する人が多かった。反対にイギリスでは、高齢の男性のほうが座らない傾向が強く、オーストラリアやアメリカでも同様だったという。

 この調査では日本は対象とならなかったが、2020年の別の調査では、日本人男性の70%が座って排尿するという結果になっている。5年前の51%からアップしており、少なくとも日本では、男性のトイレ習慣は変わりつつあるとガーディアン紙は述べている。もっとも、調査の対象になっているのは家のトイレであり、外出先で小便器があったり順番待ちの列が長かったりした場合は、状況は変わるだろうとしている。

◆健康的で衛生的! 座るメリットは多い
 座って排尿することは、男性の健康に良いという研究結果も出ている。ライデン大学医療センターの研究者によれば、座ると膀胱(ぼうこう)がより速く、より完全に空になるということだ。また、座るほうが静かな空間で一息つくことができ、考える時間も持てるため、精神衛生上良いという意見も多い。(ユーロニュース)

 さらにアメリカの学者によれば、おしっこは出てから数センチで水滴に分解されてぶつかり合い、広範囲に飛び散る可能性があるという。また、便器の水面にぶつかることで水しぶきが上がり、トイレ内や置かれた物を汚すことになるため、座った姿勢がお勧めということだ。(ガーディアン紙)

 ユーロニュースによれば、フェミニストや左派の間では、家父長制的な考え方が男性の思いやりのないトイレ行動につながっており、座ってするほうが女性に敬意を表すことになるという考えもあるという。一方、右派からは、立って排尿するという男性的な特性を曲げて座ってさせるのは男性の「家畜化」という主張も出かねないということで、座ってするのが多数派になる時代はまだまだ先かもしれない。

Text by 山川 真智子