「ウクライナの戦術、市民を危険に」アムネスティが批判「住宅街に軍事拠点」

ウクライナ東部ドネツク州ポクロフスク、8月4日|David Goldman / AP Photo

 世界最大の国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルが、ロシアとの戦いにおけるウクライナ軍の戦術を批判する報告書を出した。学校、病院のある民間人居住区内に軍事拠点を置くウクライナ軍は市民を危険にさらし国際人道法に違反しているというアムネスティの指摘に対し、ウクライナ政府関係者は強く反発。識者からも疑問の声が上がっている。

◆特別扱いはしない NGOが宇軍を批判
 報告書によれば、アムネスティの研究者は4月から7月にかけて数週間にわたってハリコフ、ドンバス、ミコライフ地方におけるロシアの空爆を調査したという。その結果、ウクライナ軍が地域の19町村で人口の多い住宅地内から攻撃を開始し、民間の建物に拠点を置いている証拠を見つけたとしている。

 国際人道法は、すべての紛争当事者に人口密集地内、またはその近くに軍事目標を設置することを可能な限り避けることを求めている。しかしアムネスティは、ウクライナの戦術は民間人を軍事目標に変えてしまい、結果として人口密集地におけるロシアの攻撃が民間人を殺害し民間インフラを破壊することになったとしている。ウクライナは防衛する立場にはあるが、国際人道法の順守を免除されることはないとアムネスティのカラマール事務総長は述べている。

 報告書はロシア軍による事実上の無差別攻撃にも言及し、ウクライナのやり方に問題があるからといって、ロシアの戦争犯罪を正当化するものではないとも述べている。アムネスティは調査の結果を7月29日にウクライナ国防省に報告したという。

Text by 山川 真智子