保護犬と7年かけ徒歩で世界一周4万8千キロ 人類・犬史上初の快挙

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◆病に倒れ2度の中断
 最初の目的地パナマでは、刃物で脅され拘束される怖い体験もした。南米では野宿している最中、あまりの寒さに凍死しそうにもなった(NJ.com、5/22)。ロンドンでは、感染していたバクテリア細菌症が発症し、治療のため入退院を4週間にわたって繰り返すものの、2017年9月、旅を中断し一時帰国する。

 また、ペルーでは砂漠を歩いていると、サバンナが鼻血を出して体調がおかしくなったため、タクシーで5時間かけて街の獣医を見つけ、手当てしてもらうこともあった(スプルース・ペッツ、6/30)。

 トルコの山岳地域ではテロリストと間違えられて、治安兵士に銃を突きつけられる体験もした(インサイド・エディション、7/9)。トルコやウズベキスタンでは地元の人たちに結婚式に招待される感動的な体験もした。

 新型コロナウイルス感染拡大でアゼルバイジャンでは約6ヶ月間足止めを余儀なくされたが、旅の最後の地キルギスタンを訪れ、2021年8月にアメリカ・シアトルへ戻る。どの国を訪れてもたくさんの人々に助けられてきた。感じたのは、「地球上の99.9パーセントの人は善良だということ(略)」(ABCニュース、7/7)。

 再び旅をしたいかと尋ねられると、「いまは、歩いたり旅したりしない生活を送りたいですね。もう十分しましたから。いまは一ヶ所にいたい。それだけです」とトムは笑いながら答える(CNN)。1年かけて旅の日記をまとめる計画だ。

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Text by 中沢弘子