お遍路、辛かったけど良かった……豪英紙で体験談 四国の魅力も海外で浸透中?

flickr / Simon Desmarais

「お遍路さん」で知られる四国八十八ヶ所巡りが複数の海外メディアで取り上げられている。なかには実際に装束に身を包んで巡礼を行い、その経験を綴った記事もある。巡礼中の苦労が偲ばれるが得るものは大きかったようで、道中に地元お人などから受けた親切に感銘を受けたほか、帰国してからの人生にも確かな違いを感じるなど、旅行を超えたスピリチュアルな体験として心に焼き付いているようだ。

◆海外からの旅行者がお遍路を実体験
 お遍路を体験した海外からの旅行客は、予想外に厳しい行程に苦しんだようだ。オーストラリアのジ・エイジ紙は、文学の祭典『メルボルン・ライターズ・フェスティバル』のディレクターを務める女性のお遍路体験を取り上げている。厳しい暑さの中を徒歩で巡った旅程中、険しい山道やクマに出くわす危険のほか、嘔吐やふくらはぎの激痛など体調面でも困難に直面したという。

 イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙でも、元東京特派員のジョプソン氏が自身の体験を綴っている。自転車で行程を駆け抜けた同氏は、朝8時から夜6時まで走り続け、それでも3週間かかったようだ。折しも台風が近づいており、暴風雨にも悩まされた。遍路は一人では達成できず、自然の力に頼る必要がある、という住職の言葉が身に染みたという。

 こうした困難な道のりを支えたのは、現地四国の人々の親切心だ。前者のオーストラリアのディレクターは道中、見ず知らずの人から食べ物や水などのもてなしだけでなく、水ぶくれの手当てさえ受けたと感謝している。四国にはお遍路さんに親切にすると幸運を招くという言い伝えがあり、これが後押しとなっているようだ。後者の元特派員の場合は、コンビニのレジに並んでいたところ、朝食分の代金を全く知らない人が払ってくれたとのことで、驚いた様子だ。苦しい遍路の道のりだが、現地の親切心に励まされて完遂した海外の人々もいるようだ。

◆最高のおみやげ? 前向きなパワーを海外にお持ち帰り
 日本のお遍路から得た心の強さは、海外各国へ戻っても続くようだ。前述のディレクターは、実は会社から解雇されるなど精神的に極めて追い込まれていた。しかし日本でお遍路をやり遂げたことで、自信と意欲を取り戻すことができたという。また、遍路の体験を本に著して出版し、これが現職であるフェスティバルのディレクターへの抜擢につながっている。

 また、フィナンシャル・タイムズ紙の元特派員は、遍路に参加して以来、ビジネス上のストレスにうまく対処できるようになったようだ。「猛烈な競争に巻き込まれそうな時、白い装束を身にまとい、様々な理由で次の寺への道を歩んでいる人が常にいるのだと思い起こせば、心を落ち着けることができる」と語る。お遍路は日本人だけでなく、海外の人々にも精神的な強さを与えてくれるようだ。

◆魅力あふれる四国は2度目の日本旅行におすすめ
 お遍路以外にも四国の魅力を伝える海外メディアは多い。イギリスのインデペンデント紙は、東京や京都からは離れているものの、それらを見尽くした2回目の日本旅行にぜひおすすめと太鼓判を押す。記者が実際に四国を訪れ、高知の黒潮がもたらす美味しいカツオのタタキや香川のうどんなど、定番の四国グルメに満足したようだ。また、タクシー運転手のみぞ知る隠れた名店に乗せて行ってくれる、香川の『うどんタクシー』という一風変わったサービスを紹介している。

 他にも、オーストラリアの通信社AAPでは、記者が徳島県の祖谷渓(いやだに)をプッシュしている。急流を下るスリル満点のラフティングや、木の枝を使って秘境に架けられた「かずら橋」など、日本の山あいでの冒険を満喫した様子だ。宿泊したホテルには小さなケーブルカーがあり、谷底まで下って露天風呂にアクセスできたそうで、意外なギミックに記者も感心した様子だ。

Text by 青葉やまと

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