中国はなぜ「ゼロコロナ」に固執するのか 人権、経済に多大な影響も

Andy Wong / AP Photo

 オミクロン株の感染が広がる中国では、厳しいロックダウンと強制的な検査を市民に課すゼロコロナ政策で対応している。しかし世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、この政策がもはや持続可能ではないという見解を示した。中国側はテドロス氏の発言が無責任だとし、あくまでも現在の政策を堅持する姿勢を示している。

◆「ゼロコロナは正しい」中国メディアが批判に反応
 ウイルスが変異を繰り返し、感染力を強めている点、またロックダウンが市民に与える苦痛などを鑑み、中国のゼロコロナ政策の持続可能性を疑問視する意見はこれまでも出ていた。しかし中国共産党傘下の英字紙チャイナデイリーは、批判はいくつかの重要な事実を無視していると反論する。 

 中国では一貫したコロナ対策の結果、対策を間違った欧米より感染者数や死者数が抑えられ、甚大な被害を避けることができたと同紙は主張する。また、ロックダウンだけでなく、集団検査、ワクチン接種、感染者へのケアなど包括的な戦略を取っており、他国とはまったく対照的だとしている。さらにゼロコロナ戦略のおかげで力強い経済成長を記録し、世界経済の安定にも寄与。感染が食い止められたことで、中国からの医薬品やワクチンの提供で他国も助けられた。よってゼロコロナは中国に最良の結果をもたらすものだと結論付けている。

 中国国営新華社は、中国最高指導部の会議で話された防疫対策を報じている。現在の感染対策は3月以来の全国的な協調努力で進展しているとされたが、世界的流行は続き、ウイルスも変異しているため、今後の大流行に備えて対策の手を緩めないよう警告が発せられたという。会議では、緩和策を取れば間違いなく大量の感染者と死者を出し、経済や社会の発展、国民生活に深刻な影響を与えるとされた。そのためゼロコロナを堅持し、中国の政策を歪曲、疑問視、否定するいかなる企てにも断固として対抗することの重要性が強調されたという。

Text by 山川 真智子