いまだ「接種ゼロ」は2国、北朝鮮は国際支援を拒否 「変異株の震源地」になる懸念も

故金日成氏生誕110年を祝うダンスパーティ(4月15日)|Cha Song Ho / AP Photo

 北朝鮮は国際ワクチン支援のCOVAXによる申し出を辞退し、ワクチンの接種をまったく行っていない。現在1回目の接種すら始まっていない地域は、世界でも北朝鮮と東アフリカのエリトリア国の2ヶ国のみだ。今後感染が拡大すれば、「変異株の震源地」となる可能性が懸念されている。

◆封鎖策に限界
 現状はワクチンなしで乗り切っている北朝鮮だが、国民生活は明らかに悪化しているようだ。米ワシントンポスト紙(4月24日)は、国連人権理事会の人権特別報告者であるトーマス・キンタナ氏のレポートを取り上げている。氏は「国境封鎖などのコロナ規制は同国内でのアウトブレイクを防いだように思われる」と評価する一方、封鎖は「より広範な健康問題と、さらなる経済的欠乏という代償が伴った模様だ」とし、ワクチン不在の封鎖策が人道上の危機を拡大したとの見方を示した。

 ワクチンがまったく入手できないわけではない。昨年ワクチン提供の申し出があったが、同国はこれを拒否している。米ABCニュース(4月25日)は、これまでに中国シノバック製ワクチン300万回の提供が打診されたが、北朝鮮は同国よりも支援が必要な国に送るべきだとして受領を拒否したと伝えている。これとは別に、アストラゼネカ製200万回分についても拒否された。

Text by 青葉やまと