野菜が恐くて食べられない人たち ラカノフォビアとは?

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 健康志向に加え、肉食が環境により大きな負担をかけるというサステナビリティ意識が高まり、ヨーロッパでは代替肉の生産・消費が増えている。スーパーにはさまざまな代替肉が並び、外食ではベジタリアンメニューが当たり前になり、ベジタリアンやフレキシタリアン(セミ・ベジタリアン)にとっては歓迎すべき世の中になったといえるだろう。しかし一方で、野菜が食べられないために、この状況を喜べない人々が存在する。アレルギー疾患などの身体的な理由ではなく、「野菜を食べることに恐怖を感じる」人たちだ。

◆周囲に理解してもらいにくい「ラカノフォビア」
 高い所に恐怖を感じる高所恐怖症、クモや蝶などが怖い虫恐怖症などはよく聞く恐怖症だ。世界には数百の恐怖症が存在するというが、ラカノフォビア(lachanophobia)は野菜を怖がる珍しい不安障害だ。野菜を見たり、それらに触れると強い嫌悪感や恐怖感を抱いたりパニック状態に陥る。動悸や息が詰まるといった症状が出ることも多いという。

 スイスに住む26歳のファビエンヌさんは、ラカノフォビアのため小さい頃から野菜が食べられなかった。ファビエンヌさんはその様子を、「野菜は全般的に食べません。子供の時、パスタに野菜が添えてあると、野菜がパスタに触れたせいでパスタを食べませんでした。1番長く食べていたのは、ニンジンとグリーンピース(エンドウ豆)です。それを食べないと母がメインの料理をくれなかったので。いまは、たとえば、タマネギが入っていると見た目ではわからないライスを食べて、後からそれに気付くと、途端に息が詰まってしまいます」と20ミヌーテンに語る。

 ファビエンヌさんには果物にも恐怖を感じるフルクトフォビア(fructophobia)もあり、果物全般も食べない。バナナとリンゴがとくに嫌い(バナナは香りがだめ、リンゴはかじったときの音が嫌)で、果物が自分のお皿にのっているだけで強い抵抗感があるという。(同)

 ファビエンヌさんはパスタ、米、パン、ジャガイモ、肉を主に食べている。ファビエンヌさんの栄養素摂取の偏りが気になるが、数年前、ビタミンの検査をしてもらったところ、不足はなかった。彼女がラカノフォビアであることに関心を持ってくれる人もいるが、「そんなの普通じゃない」とか「野菜が嫌いなら食べなくていいと甘やかされ育ったのだろう」という反応も多い。単なる野菜で嘔吐寸前のように気分が悪くなると説明しても、「なぜ野菜で?」と理解してもらえないという。(同)

Text by 岩澤 里美