「アメリカは内戦に向かっている」語られる危機 議会襲撃から1年

2021年1月6日に起きた連邦議会議事堂襲撃事件|Julio Cortez / AP Photo

 2021年1月6日、当時大統領だったドナルド・トランプ氏が前年の大統領選の投票で不正があったと演説で訴え、支持者が連邦議会議事堂に侵入し暴徒と化す事件が起きた。事件から1年を迎えたいま、アメリカでは武装した極右過激主義者が反乱を起こし、かつての南北戦争のような内戦が勃発するのではないかという言説が大きく取り上げられている。

◆民主主義は終わるのか 内戦に近づくアメリカ
 ニューヨーカー誌の編集者デビッド・レムニック氏は、議事堂襲撃事件でアメリカは完全な民主国家ではなくなったと述べる。この200年間で初めて民主主義と独裁政治の狭間に立たされているとし、その不確実感がアメリカにおける一時的な流血の可能性、そして内戦のリスクを高めているとしている。

 作家でエッセイストのステファン・マルケ氏は、いまのアメリカの法制度は日に日にその正当性を失っており、政府への信頼も急低下し、連邦政府の権威に対する抵抗が行われていると指摘。アメリカのシステムの崩壊はようやく感じられ始めたところで、再び内戦に向かっているとしている。(ガーディアン紙

 カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授で、CIAの諮問委員でもあるバーバラ・ウォルター氏は、世界中の内戦の状況を研究し、どの国に内戦の可能性があるかを予測している。アメリカで起きたことをチェックリストに沿って評価したという同氏は、2世紀以上前に建国された民主主義国家であるアメリカが、非常に危険な状態にあることがわかるとしている。(マーケット・ウォッチ

Text by 山川 真智子