ポンペイで「奴隷部屋」発見 小さな明かり窓、ベッド、生活用品……

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 ポンペイ郊外の別荘地で、かつて使われていた奴隷部屋が発見された。噴火による悲劇的な結末を迎えたイタリアの古代都市で、奴隷階級の人々はどのような生活を送っていたのだろうか? 富裕層の足跡だけが歴史に残りやすいなか、質素な暮らしを強いられてきた人々を知る貴重な手がかりになるという。

◆別荘地から発見された簡素な部屋
 発見現場はポンペイ郊外の別荘で、市街を囲む城壁から北西に700メートルほどの地点に位置する。一帯にはチヴィタ・ジュリアーナと呼ばれる別荘地が広がっており、そのうちの邸宅から今回の奴隷部屋が発見された。部屋は極めて質素なつくりとなっており、複数の奴隷が生活していたものとみられる。AP (11月7日)は、複数のベッドや馬具、生活用品などが発見されたと報じている。

 英オブザーバー紙(11月6日)は、「16㎡の部屋を照らす自然光は上部の小さな窓から入るもののみであった。壁に装飾品のあった形跡は一切みられない」と報じている。ポンペイ考古学公園のガブリエル・ズフトリージェル会長は「ひときわ目を引くのは、寮と倉庫の中間のような、窮屈で不安定なこの部屋の性質です」と語り、これまで発掘されたほかの住居との性質の違いを強調した。歴史上脚光を浴びることのなかった弱い立場の人々の暮らしぶりを明かす重要な史料になるとみられる。

Text by 青葉やまと