米、デルタ株猛威でワクチン接種が増加傾向

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◆新たなインセンティブでワクチン接種促進
 しかし、ワクチンを頑なに拒否する人々の不信感は強い。CNNによると、ワクチン接種を拒否する人々の理由は、「ワクチンから新型コロナにかかりたくない」「長期的な副反応が怖い」「ワクチン接種を受けると妊娠できなくなる」などというものだという。政府がワクチンに関する真実を隠していると疑う陰謀論者も多く、このような人々を説得することは難しそうだ。またUSAトゥデイは、ミズーリ州の医師の話として、友人や家族にワクチン接種を受けたことを知られるのが怖くて、変装をしてクリニックを訪れる人々がいることを報道している。一部の人々の間ではワクチンに対する偏見が極端化しているのだ。

 このような人々を説得するために、バイデン大統領はワクチン接種に対する新たなインセンティブを推奨している。ABCニュースによると、バイデン大統領は各州や市などの地方政府に対し、ワクチン接種者に100ドル(約1万1千円)の報奨金を支払うインセンティブキャンペーンを行うよう求めた。また、すべての連邦政府職員と連邦政府で仕事をする業者にワクチン接種証明の提示を求めることも公表している。

◆有名企業がワクチン接種義務付け
 連邦政府だけでなく、州など地方政府や私企業でも社員にワクチン接種を義務付ける場合が増えてきた。CNNによると、グーグルやフェイスブック、ネットフリックス、ディズニー、ウォルマートなどの大企業がすでに社員にワクチン接種を義務付けている。とくにアメリカ国内に多数の店舗を持つウォルマートが社員に接種を義務付けたことは大きいだろう。こうしてワクチン接種義務を拡大すれば、少しずつでもワクチン接種者が増えてくる。次の変異株が流行する前にワクチン接種者をなるべく増やすことは、アメリカの現在の課題である。

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Text by 川島 実佳