「ワクチン接種で当たる・もらえる」5億円、学費、銃、マリファナ……米で多様なキャンペーン

コロラド州のワクチン宝くじに当選した男性|David Zalubowski

◆銃やマリファナ、旅行など特典はさまざま
 宝くじのほかにも、多くの州がユニークなインセンティブを提供している。筆者の居住するハワイ州の地元テレビ局KHON2(電子版)によると、同州政府では人気の地元レストラン「ジッピーズ」の食事1年間無料、ラスベガス旅行2人分など、ハワイならではの特徴ある特典を用意。一方、NBCニューヨーク(電子版)によると、州政府のプログラムではないが、ニューヨーク市のユニオン・スクエア・パークでは、「ジョインツ・フォー・ジャブス」という団体が、ワクチン接種を受けた人にマリファナを提供するイベントが行われた(ニューヨーク州ではすでに嗜好品としてのマリファナ利用が許可されている)。また同州でもワクチン接種を受けると参加可能な、20ドル(約2200円)から500万ドル(約5億5000万円)の賞金が当たる宝くじプログラムが実施された。

 またNBCニュース(電子版)によると、共和党勢力が強く銃所持者の多い東南部ウエストバージニア州では、ワクチン接種を受けると現金や大学奨学金のほか、ライフルやショットガン、トラック、一生分の狩猟や釣りの許可証など、同州らしさのあるインセンティブが用意されている。

 しかし、このようなプログラムは連邦政府規模で行われているわけではなく、とくにテキサスやフロリダ、ミシシッピなど、多くの共和党州では民間のインセンティブはあっても州政府規模では実施されていない。その影響で、接種率が低いまま滞っているという可能性もある。

 インセンティブプログラムが国民のワクチン接種についての姿勢にどれだけの影響を与えているのかは定かではないが、オハイオ州の宝くじに当選した男性は「宝くじの話を聞いてワクチン接種を受けようと思った」と話しており、それなりのモチベーションを与えていることは確かなようだ。

 ワクチン接種率が上がれば新規感染者数が減少し、経済再開も早まる。ロックダウンに戻りたくなければ、今後は接種率が伸び悩む州でもインセンティブプログラムを真剣に検討する必要が出てきそうだ。

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Text by 川島 実佳