恋に落ちた神父たち 還俗とその葛藤

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 イタリア、トディ教区のチェッコベッリ神父が11日、「私の心は恋している」と司教に告白し、還俗したい意思を示した。タブーとされる神父の恋愛。その現状はどうなのか。

◆12世紀から続くカトリック神父の独身制度
 同じキリスト教でも、プロテスタントの牧師が妻帯可能であるのに対し、カトリックでは神父は独身を守らなければならない。これは、イエス・キリストが説いたわけではなく、イエスの処刑後1000年以上も経った中世に定められた決まりだ。より正確には、1139年、第二ラテラン公会議においての決定であった。そうして、すべてのキリスト教宗派のなかでローマ教会(カトリック)だけが、この決まりをいまも遵守しているというわけだ。

 そのため、これまでも独身制度を見直そうという動きがなかったわけではない。たとえば、2019年10月には、中南米から数百人の司教がバチカンに集まり、「既婚男性を神父として叙階する許可を、司教に与えてほしい」と願い出た。このときは保守的なカトリック界にも変革が訪れるかと目されたが、ローマ教皇フランシスコは2020年1月、この嘆願にNOと答えている(レクスプレス誌、2020/1/13)。

Text by 冠ゆき