「女性への暴力は、男性の問題」女性殺害事件めぐり英国女性の怒り爆発

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◆何度も繰り返された「女性への暴力は、女性が原因」
 これまで、セクシャルハラスメントや性暴力など、女性が被害者となる事件が起こると「女性にも問題があったのではないか」「女性も自衛すべき」といったコメントが飛び交ってきた。その度に、当事者である女性を中心にデモ活動や反対運動が行われてきた。

 1977年にイギリスで初めて行われた「リクレイム・ザ・ナイト(夜を取り戻せ)」運動はその代表的なひとつだ。1975年からの5年間に女性が次々と襲われて13人が殺害された事件の捜査中、警察は女性たちに夜間の外出禁止を指示した。これに対して女性たちは「女性は制限なくどこでも歩くことができ、男性の暴力の言い訳にされるべきではない」と主張し、イギリス全土で大規模なデモ活動につながった。

 また2011年には、カナダの警察官がトロント・ヨーク大学での講演で 「こんなことを言うべきではないが」としつつ、性暴力の被害に遭わないためには「スラット(尻軽女、あばずれの意)のような格好をしないことだ」と発言。これを受けて始まった「スラットウォーク」は世界規模のデモ活動に発展した。

◆メディア「変わるべきなのは男性」
 イギリスのジャーナリストであるカトリオナ・ステュワートは、英ヘラルド紙(3月12日)において「第1回目のリクレイム・ザ・ナイトから44年が経つが、私たちはまだ同じところにいる」とし、女性への暴力は圧倒的に男性によるものであることを指摘して「男性こそが問題である」と述べた。同時に「いまが変化のときだ」とも強調している。

 また、米ニューズウィークは「すべての男性は、サラ・エヴァラード殺人事件を許容するような文化に対する責任がある」というタイトルのオピニオン記事(3月17日)を掲載。「すべての男性は、変わらなければならない。(中略)すべての男性は、沈黙、習慣、ハッシュタグ、言葉遣い、人間関係、メディア消費などによって、(おそらく無意識のうちに)女性に対する暴力に加担しているのだという事実を、いま一度考えるべきである」と述べている。

◆SNS上では変化を見せる男性たちも
 この問題に対して、ツイッター上で「#notallman(すべての男性がそうではない)」がトレンド入りした。女性に対して暴力を振るう男性と同列に扱われることに反対する男性が声をあげるなど、これまでと変わらない応酬も見られた。

 しかし、一部の男性たちには変化が現れている。サラが行方不明になった場所から5分ほど離れたところに住む男性は、「人通りの少ない静かな通りではできるだけ距離をとって顔が見えるようにする以外に、不安や恐怖心を減らすために男性ができることはありますか?」という質問を投稿。このツイートは2万7000の「いいね」と4800以上のリツイートを受けた。

 同じくロンドン南部に住む料理評論家の男性も「静かな通りで女性の後ろを歩くことになったら、反対側の道に渡ってできるだけ早く遠くに離れるのが理想。自分は体が大きく、暗いところで自分のシルエットがどういう風に見えるか完全に理解しているので」とツイートした。

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Text by 中原加晴