「女性への暴力は、男性の問題」女性殺害事件めぐり英国女性の怒り爆発

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 3月初旬にロンドン南部で帰宅途中の女性が行方不明となり、後日遺体で見つかった事件はイギリス中に衝撃を与えた。さらに、捜査にあたった警察が地元の女性たちに夜間の外出を控えるよう警告していたことが発覚し、「なぜ被害者である女性が行動を控えなくてはならないのか」と女性たちが怒りの声をあげ、デモ活動が開始された。

 この事件をきっかけに、女性への暴力という問題を女性の側の問題ではなく、男性の問題として語るようにすべきだという動きが高まっている。

◆帰宅途中に失踪、通っていたのは人通りの多い道
 サラ・エヴァラードは3月3日夜、友人の家から徒歩で帰宅していた。それほど遅い時間帯ではなく、通っていたのも人通りのある道だった。明るい色の服を着ていたし、恋人に電話で居場所を知らせてもいた。しかしその後、彼女の行方はわからなくなる。

 翌日、彼女と連絡がつかないことを不審に思った恋人が警察に通報し、捜査が開始された。捜査の結果、遺体は最後に目撃された場所から約90キロメートル離れたところで発見され、現職の警察官が容疑者として逮捕、訴追された。

 そこまで遅くない時間、まして人通りの多い場所で、安全を守ってくれるべき存在の警察官によって起こされたこの事件は、イギリス中の女性たちに衝撃を与えた。しかしさらに衝撃だったのは、ロンドン警視庁が事件の捜査中、地元の女性たちに「夜間の外出は控えるように」と警告していたことだった。これに対して、なぜ被害者が行動を控えなくてはいけないのかという怒りの声がイギリス全土であがったのだ。

 イギリス議会上院では、ある議員が「男性に対して午後6時以降の外出を禁止してはどうか」と呼びかけた。この議員は後にイギリス・スカイニュースに対して「100%本気だったわけではない」としつつ、警察が女性に外出を控えるよう呼びかけることをおかしいと思わない、その現状を指摘したかったのだと説明した(BBC、3月14日)。

Text by 中原加晴