米初の「児童手当」 バイデン氏「子供の貧困が半減」 追加経済対策で

追加経済対策法案に署名するバイデン大統領(3月11日)|Andrew Harnik / AP Photo

◆児童手当支給で子供の貧困が半減
 妊娠・出産・育児に関する福利厚生という面では、アメリカは先進国のなかで最も遅れていると言っても過言ではない。遅れているというよりも、産休・育休期間の給与補償および有給制度などは連邦政府レベルで存在しないばかりか、国民皆保険もなく、日本のような幼児教育・保育の無償化などももちろんない。

 筆者の住むハワイ州では、園により多少異なるが、プレスクールと呼ばれる保育園に子供を入園させる場合、年齢によって1人あたり毎月700~1000ドル(約7万6000~10万9000円)程度の料金がかかるのが現状だ。アメリカに比べると、国民皆保険制度や産休・育休制度が確立し、費用の安い保育園や児童手当もある日本はかなり恵まれている。

 そんなアメリカにとって、毎月一定額支給される「児童手当」(元々がタックスクレジットのため、日本のように完全な手当とは言えないが)制度がスタートするのはかなり重大な出来事である。子供1人につき250~300ドルが毎月支給されることで、バイデン大統領は演説や記者会見などでも頻繁に、チャイルド・タックス・クレジットを毎月直接各家庭に支給することで、「子供の貧困率を半分に減らすことができる」と発言している。

 世界一リッチな国と言われるアメリカだが、国民間の貧富の差は激しい。それに加え、新型コロナにより経済的困窮に追い込まれた人々もまだ多数存在している。ワクチン接種も進み、トンネルの向こうに光が見えてきたアメリカで、今回の救済法で文字通り多くの人々が救われ、景気が刺激されることを期待したい。

【関連記事】
新型コロナ復興の鍵? 米で「ベーシックインカム」論争が再燃
米共和党、2回目のコロナ救済法案「ヒールズ・アクト」提案 8月にも実施か
スペイン、低所得世帯に最大月12万円 コロナで計画加速

Text by 川島 実佳