米初の「児童手当」 バイデン氏「子供の貧困が半減」 追加経済対策で

追加経済対策法案に署名するバイデン大統領(3月11日)|Andrew Harnik / AP Photo

 アメリカで3月9日、ジョー・バイデン新大統領の選挙公約でもあった新型コロナ救済法案「アメリカン・レスキュー・プラン」の修正法案が下院に戻され、賛成多数(共和党は上下院とも全員反対)で可決。バイデン大統領はその後、11日に法案に署名し、同法は正式に施行された。バイデン大統領就任50日目の快挙であった。

 同法に関しては米国民の支持も強く、調査機関モーニング・コンサルトが実施した世論調査によると、民主党支持者は90%、共和党支持者は59%、全体では75%がこの救済法を支持している。

 アメリカン・レスキュー・プランのセールスポイントはもちろん、アメリカ国民および合法移民で年収が一定以下の人々に支給される1人あたり1400ドル(約15万2000円)の特別給付金である。つまり、家族4人ならば5600ドル(約61万円)が支給されることになる。この給付金支給自体は1回きりのものだが、同法のもう一つの目玉は、これまで税金申請時のクレジット項目(支払う税額から控除される項目)として、年間子供1人最大2000ドル(約21万8000円)までとなっていた「チャイルド・タックス・クレジット」が、事実上アメリカ初の「児童手当」として、6歳未満は月額1人300ドル(年間3600ドル、約39万2000円)、6歳以上17歳未満は月額250ドル(年間3000ドル、約32万7000円)、毎月子供を持つ納税者の口座に直接振り込まれることになったことだ。

◆福利厚生後進国アメリカ、初の試み
 アメリカ国内ではすでに、アメリカン・レスキュー・プランによる特別給付金の銀行振り込みが開始されており、条件を満たすオンライン納税者の場合、3月17日までには大多数の振り込みが行われた。しかし、児童手当のほうは初の試みであるためシステム構築に時間がかかるのか、いますぐには実行されない。米経済ニュース局CNBCによると、2021年夏(7月と言われている)までには各家庭に支給が開始される予定だ。この「児童手当」支給はいまのところ今年いっぱいの予定だというが、民主党が今後この制度を恒久化する計画をしているという報道もある。

Text by 川島 実佳