新型コロナ復興の鍵? 米で「ベーシックインカム」論争が再燃

Frank Franklin II / AP Photo

 資本主義の代名詞として世界一の経済を誇るアメリカ合衆国。豊かな国ではあるが、「持てる者」と「持たざる者」の貧富の差は大きくなる一方だ。新型コロナウイルス感染拡大により失業者が増加したうえに感染予防のために自宅待機が奨励されるなかで、その格差はさらに大きくなっているようだ。さらに連邦政府から新型コロナの失業者に対し、通常の失業保険額に上乗せされて支給されていた毎週600ドル(約6万4000円)の特別給付金は7月31日で終了し、経済的な苦境に陥っている人々に関するニュースも毎日メディアで報道されている。

 そんななかで、4月から7月まで約4ヶ月間にわたり失業者に支給されていたこの給付金の経済効果にスポットライトが当たっている。共和党から「労働意欲を削ぐ」として非難されていたこの給付金に、経済活性化を助けるという意外な効果がみられたからだ。パンデミック下で経済が冷え込むなか、各州の失業保険に週600ドル、単純計算で月2400ドル(約25万6000円)もプラスされた金を手にした失業者たちが、アメリカの消費を助けたのである。

◆給付金支給で失業者の消費が増加
 経済誌フォーブス(電子版)が報じたJPモルガン・チェース・インスティチュートの調査によると、アメリカの失業者による消費は、通常失業時に7%の下降を見せるものの、今回は連邦政府から新型コロナウイルスによる失業の特別給付金が支給されたことで10%の上昇を見せたという。CBSニュースによると、今年4月の失業率は3月の4.4%から10%以上アップした14.7%だったことから、給付金を受け取った失業者による消費が10%アップしたという事実がアメリカの経済活性化に大きな影響を与えたことは間違いない。また、最も消費がアップしたのは低所得者層だったという。その場合、週600ドルの給付金と失業保険を合わせた額が普段の賃金を上回っているのであれば、いままで買えなかった生活必需品を購入したり、外食したりした人が増えたであろうことは想像に難くない。

 失業者に支給した給付金が今回意外な経済効果を生んだことで、2020年の民主党大統領選予備選の候補としてアンドリュー・ヤン氏が主張した「ユニバーサル・ベーシック・インカム(以下ベーシック・インカム)」がいまアメリカで再び注目を集めている。

Text by 川島 実佳

Recommends