「これは本当なのか?」Qアノン、極右団体の反応 バイデン氏就任に

Ted S. Warren / AP Photo

 米情報サイト『インサイダー』によると、20日のテレグラム上でフォロワーたちは「Q(アノン)はただの大嘘と心理的作戦で、ばかな私はそれを3年間信じ続けたのか?」「これ(バイデン氏の大統領就任)は本当に起きていること? これも計画の一部なの?」などと書き込んでいた。

 また同記事によると、Qアノンの中心的人物であるロン・ワトキンス氏もテレグラムに、「私たちはすべての力を出し切った。いまは顔を上げて、できる限り自分たちのそれぞれの人生に戻っていく必要がある」「新しい大統領が就任宣誓したのだから、それが誰であっても、特徴や詳細が違っていても、市民として米国憲法を尊重する責任がある」と投稿したという。同氏もQアノンを率いることに疲れたのか、現実に戻るよい機会として捉えているような発言である。

◆トランプ後の反政府運動に衰退の兆し
 また、Qアノンだけでなく、トランプ氏を支えた白人至上主義者グループも離反し始めているようだ。米国版ウィーク誌によると、白人至上主義グループ「プラウド・ボーイズ」は同じテレグラム上で19日、「トランプは完全な失敗として歴史に残る」と発言。バイデン氏が就任宣誓すると、同サイト上で「少なくとも新しい政権は意図を正直に示している」と完全にさじを投げたようなコメントをしたという。

 ソーシャルメディアから締め出され、大統領職を終えフロリダに移住したトランプ氏の影響力は今後も小さくなり続けるだろう。実際、バイデン大統領就任宣誓式が行われた20日、ワシントンDCではテロどころか1件のトラブルも起こらなかったという。ニューヨーク州議会議事堂では大きな抗議運動が行われる予定だったが、あるツイッターの投稿によると、現地に姿を見せたのはたった1人だったという。

 トランプ氏の力が弱まると同時に、不思議なことにQアノンや白人至上主義者グループの勢いもなくなってしまったようだ。もちろん今後も新しい標的を見つけて反政府運動を続けていく人々もいるだろうが、バイデン新政権がこれらの人々にも新政策で恩恵を与えることができれば、新しい現実に適応しようと努力する人々も多く出てくるはずだ。

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Text by 川島 実佳