タトゥーに見る米議会侵入者たちの思想

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

 トランプ大統領の支持者が1月6日、連邦議会議事堂に侵入し、一時的に占拠した。衝撃とともに世界に流された映像のなかで、大きく人目を引いた侵入者らは、体にさまざまなタトゥーを入れていた。それらのシンボルを辿ると、ほぼ等しく極右の白人至上主義につながることがわかる。

◆ウォタニズムのシンボル
 Qアノン信奉者としてこれまで何度もメディアに姿をさらしている「ジェイク・アンジェリ」はアリゾナ州出身の32歳とされる。裸の上半身に2本の角がついた毛皮の被り物という出で立ちから、Qアノン・シャーマンとも呼ばれる。メディアアプリ『アップデイ』編集長のド・ヴォロンタ氏は、その左胸に彫られたタトゥーに注目し、これはウォタニズム(Wotanism)のシンボルだと指摘する。そのタトゥーは3つの三角が絡み合うヴァルクヌートと呼ばれるもので、「ヴァイキング文化では、死から解放された戦士のシンボル」(ル・モンド紙、1/7)だが、現代ではウォタニズムの象徴として用いられている。ウォタニズム(Wotanism)あるいはウォタンズヴォーク(Wotansvolk)と呼ばれるのは、排他的白人至上主義を説く過激思想のひとつだ。

 議会議事堂に侵入したのはトランプ支持者ではなく反ファシスト活動家「アンティファ(ANTIFA)」だったと主張する意見のなかには、このジェイク・アンジェリの写真を証拠として添付するものもあるが、ニューヨークタイムズ紙(1/6)は、「彼は長年Qアノン支持者で、ここ数ヶ月はアリゾナ右翼政治集会の常連」と指摘している。

Text by 冠ゆき