タトゥーに見る米議会侵入者たちの思想

Manuel Balce Ceneta / AP Photo

◆鎌と鋤のタトゥーはアウトサイダーのマーク
 ジェイク・アンジェリとともに議事堂を占拠する様子が報じられた人物のひとりの左手の甲には、旧ソ連のシンボルに似た鎌と鋤のタトゥーが見られた。そのため、一部SNS上ではこれは「アンティファ(極左)だ」とするコメントが流れた。しかしル・モンド紙は、これは「ディスオナード」というゲームに出てくるシンボルだと指摘する。ゲームのなかでこのシンボルは、「アウトサイダーに選ばれた者」を示す。

 実際、この人物ジェイソン・タンカースレーは、これまでに少なくとも2004年から複数のネオナチ運動に積極的に参加している筋金入りの白人至上主義者である。ル・モンド紙によれば、別所で写された写真では、「上半身に鉤十字やSSの頭文字などのナチズムシンボルのタトゥー」を確認できるという。

◆ネオナチと白人至上主義者
 議事堂前に詰めかけたデモ隊のうち、AFP通信のインタビューを受けたものの複数はプラウドボーイズのメンバーだった。プラウドボーイズというのは、男性のみで構成される「アメリカのネオファシスト組織」で、過去4年間アメリカで起きた複数の騒動に関わっている。なかでも2017年にバージニア州シャーロッツビルで開催された「ネオナチ集会は、(プラウドボーイズ)メンバーの一人が主催した」ものだ(BFMTV、1/7)。このときは、集会開催に抗議する人々との争いがエスカレートし、死傷者が出る騒ぎとなった。

 ル・モンド紙によれば、議事堂への侵入者のなかには、白人至上主義団体クー・クラックス・クラン(KKK)の元メンバーで、人種差別による暴行や殺人で数度起訴されたことのあるブライアン・ジェイムズの姿も認められた。またBFMTVは、極右活動家ティム・ジオネット(別名ベイクト・アラスカ)も議事堂に潜り込んだひとりで、内部からライブ動画を配信していたと報じている。

Text by 冠ゆき