米議会襲撃は何を意味するのか 極右ネットワーク、隙狙う国々

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 1月6日、ワシントンの米国連邦議会でトランプ支持者による大規模な襲撃があり、5人が死亡、60人以上が逮捕された。トランプ大統領は以前から極右勢力を中心とする支持者に対して、大統領選の不正を訴えたり、抗議活動を続けたりするよう主張しており、同日もツイッターにそのような投稿をしていた。

 一方、トランプ大統領は7日にツイッターに動画を公開し、同襲撃で自らの責任については言及しなかったものの、「新しい政権が20日に発足する。円滑な政権移行を進める」と敗北を認める認識を示した。だが、それによって今後の懸念事項が消えるわけではない。

◆アフタートランプでも「トランプブランド」は残る
 今回の襲撃を実行したトランプ支持者たちは、「Atomwaffen Division」や「Rise Above Movement」、「the Base」など白人至上主義組織のメンバーや関係者、陰謀論「Qアノン」の信奉者、プラウド・ボーイズやミリシアなど極右勢力のメンバーらとみられるが、トランプ大統領が依然として支持者に対して強い影響力を持っていることが浮き彫りとなった。11月の大統領選では敗北したものの、トランプ大統領はこの4年間で1000万票以上も支持を増やしている。また、米国の政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」が11月に実施したアンケート調査によると、次回の大統領選で誰が共和党から出るべきかとの問いで、トランプ氏は最も高い53パーセントの圧倒的な支持を獲得した。

 1月20日で「バイデンアメリカ」になったとしても、すぐにトランプブランドが消えることは考えにくい。2024年にトランプ大統領が共和党候補になるかどうかは別にして、トランプ大統領はホワイトハウスを去った後も自らの支持者への訴えや呼びかけを続け、関連する極右勢力の活動も続くことだろう。

 バイデン新政権は多様性や国際協調を掲げているが、まずは新型コロナと、今回の襲撃にも見られるように分断した米国という難局に直面することになる。

Text by 和田大樹