就任式で存在感、22歳詩人アマンダ・ゴーマンの戦略と夢

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 1月20日、米国ワシントンDCにてバイデン大統領とハリス副大統領の就任式が開催された。新たな米国大統領の就任式は少なからず注目されるイベントだが、今回は大統領選挙後にスムーズな政権交代手続きがないまま当日を迎えたことや、1月6日に米議会占拠事件が起こったことによって、米国民だけでなく、世界が注目するイベントとなった。コロナの感染リスクと治安リスクを鑑みて一般の参列者はなく、連邦議会議事堂前に広がるナショナル・モール(公園)は、かわりに約19万のアメリカ国旗と州・テリトリーの旗で埋め尽くされた。一方、就任式のメインステージには現職トランプ大統領を除く歴代大統領などの主要政治家が参列。式典での国家斉唱はレディー・ガガ、愛国歌はジェニファー・ロペスが披露した。式典の後半、一人の若き黒人女性が詩を朗読し、これらの大物歌手以上の存在感で場を圧倒した。彼女の名はアマンダ・ゴーマン。にわかに期待を集めるゴーマンの人物像とは。

◆10代のころからその才能を発揮
 大統領の就任式での姿が世界に中継され、一挙に注目を集めたゴーマンだが、10代のころから活躍の幅を広げ、詩やアクティビズムの世界においてはすでに知られる存在だ。ロサンゼルス出身の彼女は、就任式で披露した詩の中でも言及しているように、「シングルマザーに育てられた奴隷を祖先に持つ」黒人だ。母親は中学校で英語教師をしており、ゴーマンの文学への興味に影響したようだ。サンタモニカの高校、ニュー・ローズ・スクール在学中に社会・環境課題への関心に目覚め、その後、ハーバード大学で社会学と政治学を専攻した。彼女には双子の姉と妹がいる。双子の姉、ガブリエルは映像作家・アクティビストで、彼女とコラボレーションもしている。

 ゴーマンの活動家としての目覚めは、同じく若き活動家で、ノーベル平和賞の受賞者でもあるマララ・ユスフザイの2013年の国連ユース集会での演説にあるようだ。ゴーマンは、16歳で国連のユース代表に選ばれている。2014年には、LAの青年桂冠詩人(Los Angeles Youth Poet Laureate)に選ばれ、翌年には初の詩集「The One for Whom Food Is Not Enough」を出版。2016年にはオバマ政権下のホワイトハウスの招待も受けている。

 2017年、ゴーマンは全米青年桂冠詩人(National Youth Poet Laureate)に選ばれた。同年に開始したこの賞は、詩人としての実績や才能だけでなく、学力、課外活動などの総合的な審査が行われ、地域戦の選考に残った5人のファイナリストの中から選ばれる名誉ある賞である。受賞者は、受賞年に全米ツアーを行い、若者に向けた朗読やアドボカシー活動を行うことが定められている。初の受賞者となったゴーマンは、ヒラリー・クリントン、アル・ゴアなどの政治家など、数々の著名人や機関からの依頼を受けて詩のパフォーマンスを行い、着実な実績を築いてきた。

Text by MAKI NAKATA