火炎放射ドローンでハチの巣を一網打尽 中国で駆除作戦

Blue Sky Rescue of Zhong County via AP

◆中国で深刻化するハチの害
 このところ中国では、スズメバチによる被害が深刻な問題になっている。ベトナムとの国境に位置する広西チワン族自治区も、被害に悩まされている地域の一つだ。2013年には、この地区の生徒が200ヶ所以上を刺される被害に遭い、多臓器不全に陥った。

 地方ならではの出来事かと思いきや都市部も安全とは言えず、重慶の北方に位置し陝西省の省都となっている西安市でも、ハチに襲われた男性が死亡する事件が発生している(『クォーツ』)。同年、陝西省の3市で3ヶ月間に1675人がスズメバチに刺され、42人が死亡している(CNN)。

◆伝統「六戦術」とは
 このような状況に住民もただ手をこまねいているわけではなく、火炎放射ドローン以前にもさまざまな駆除策を打ち出してきた。クォーツ誌によると、中国伝統の方法として「六戦術」と呼ばれる基本的な駆除方法がある。袋、火、水、煙、毒、そして消火器の6つがよく使われるアイテムになっているようだ。最も重宝されているのは袋で、殺虫剤を巣に噴霧してから布袋で覆い、そして巣を根こそぎ枝から引き抜いてしまう方法がよく実践されている。ほかには火も有用だ。長い竿の先で炎を燃やし、木の枝など高所で営巣している巣を焼き払うことができる。冒頭で紹介した火炎放射ドローンは、この伝統的な手法のハイテク版とも言えそうだ。

 火攻めは何かと応用が効くようで、小型のガスバーナーを使った駆除方法がある。多数の被害に見舞われた安康市では、市長自らがレインコートで作った防護服を着込み、対策チームとともに現場へ赴いている。ハチは夜に飛ばない習性があるため、日中にパトロールして巣を見つけ、夜間にバナーで駆除する手法が効果を上げているという(ガーディアン紙)。

 住民の不安を取り除くため、伝統的な手法からハイテク兵器を投入した大技まで、さまざまな対策が実施されているようだ。

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Text by 青葉やまと