英語読みで嘲笑の的 オーストリアの村、困った村名をついに変更

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 オーストリアの小さな村、フッキングが、18世紀から続く由緒ある村名を改めることを決定した。綴りはFuckingで英語だと「ファッキング」と読まれてしまうことから、さまざまな被害に悩まされていたという。世界にはご当地では普通に使われていても、旅行者からすると完全NGと思われるさまざまな地名がある。グローバル化とソーシャルメディアの普及が、問題に拍車をかけているようだ。

◆歴史ある村の不幸 村の名前がネタに
 フッキングは、首都ウィーンから西へ350キロ離れたドイツとの国境近くに位置する、人口100人ほどの村だ。村の名前は、後にAdalpertus de Fucinginとして知られる6世紀のバイエルン地方の貴族、Fockoに由来する。数世紀の間に村名は徐々に変化を遂げ、1760年に「古代Fucinginの住民」を意味する、Fuckingとなった(ニュースサイト『デジタル・ジャーナル』)。

 ドイツ語にはFuckingという単語は存在しない。英語では「すごい」という意味のスラングとして若者を中心に使われるが、「クソ」「性行為」などを意味する最も卑俗な語、fuckから来ており、英語圏の人にとっては村の名は下品なジョークとしか思えないようだ。

 多くの観光客はこの村名に興味津々で、かなり前から村名が記された標識の横で写真を撮るのが流行している。写真だけならまだしも、標識の下でのわいせつ行為、標識の盗難、村へのいたずら電話などあきれた実害も出ていた。また村人はFuckingerという失礼な呼び方をされ、大いにプライドを傷つけられたようだ(同)。

Text by 山川 真智子