画像:メキシコ、コロナ禍での「死者の日」

AP Photo / Ginnette Riquelme

 メキシコの伝統的な祝日「死者の日」は、ディズニー映画「リメンバー・ミー」に描かれたように、本来は活気と彩りにあふれる伝統行事だ。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で多くの墓地が立ち入り禁止となり、例年よりも静かで寂しい祝祭となった。

 毎年11月1日・2日になると、メキシコの家庭では親戚の墓地を訪れて花を飾り、歌やおしゃべりを楽しみながら軽食をつまむなど、にぎやかに過ごす。しかし今年は墓地を訪れることができない人が多く、それぞれの家で伝統的な祭壇に故人の写真を飾り、ろうそくやマリーゴールドの花びら、そして故人の好物を供えるなどして過ごすこととなった。

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 思うように伝統行事ができないなか、今年亡くなった人のなかには新型コロナウイルスの犠牲者もおり、祭壇に灰が入った壺が置かれた家もある。

 メキシコで新型コロナウイルスに感染して亡くなった医療従事者は1700名にのぼり、ギレルモ・フローレス博士もその1人だ。地元病院の集中治療室で責任者を務めていた彼は、1ヶ月間の闘病の末、10月13日に亡くなった。

AP Photo / Fernando Llano

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 フローレンス博士の妻、アレクサンドラ・バルベルデさんは「今年の祭壇が、彼のためになるとは思ってもみませんでした」と語る。夫妻はエクアドルからの移民だ。エクアドルにも「死者の日」はあるが、メキシコほど明るくにぎやかに祝う習慣はなく、夫妻も去年まではそれほど特別なことはしてこなかった。

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 フローレス博士の遺灰は白い壷に入れられ、先祖の思い出や写真とともに祭壇に飾られている。まだ喪に服す期間だが、今後どこの墓に埋葬するのか、家族もまだわからない。

 メキシコでは親族を土葬するケースが多いが、新型コロナウイルスのパンデミックで9万人が亡くなり、現在は火葬という選択肢がより一般化しつつある。

 過去に、医療関係者がこれほど犠牲になった病気はなかった。

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 メキシコシティ在住のケニア・ナヴィダードさんの夫、ダニエル・シルバ・モンテネグロ医師もまた、新型コロナウイルス感染症で亡くなった。彼女は個人の職業をモチーフに、青い手術着とマスクを着用した紙人形を手作りして自宅の祭壇に飾っている。

Translated by isshi via Conyac

Text by AP